第2話「おはよう」

7時頃、実際は、顧問の宮沢先生の、話も有ったので、7時10分頃、部活は終わった。この学校から、家までは歩いて、20分ほど。決して遠い距離ではない。

帰り道では小学校からの友達でサッカー部所属の、内村と合流し、その後また、同じクラスメイトの運動部に所属している連中と何かと雑談をしながら帰っていた。すると、野球部の井上が、恋愛の話題をふりはじめた。すると、帰り道で、近くに、他クラスや、他学年のやつらもいるというのに、好きな異性の話が始まった。こんな話題をするのを聞くのは、合宿の夜以来だと思った。とりあえず、こういう話題が始まった時は、いつも、話題の矛先が自分に向かないように、大人しく共感だけをして、その場しのぎをしている。それは、恋愛に全く無縁な俺にはとても適切で、当たり前の対応だ。

気づけば話題は、三年4組(俺のいるクラス)のヒロイン的存在らしい、西山美樹に変わっていた。確か、西山は今二組の辻村と付き合っていた筈だ。彼女の俺の中の評価は決して低いわけではない、しかしそれは、あまり関わりを持たないということと、彼氏が、人気者ということからであって、結局は、高評価でも、低評価でも無いものだ。


ただ、この日西山がと別れたということが、一番心に残っていることだったのだろう。


家についた頃には時刻はもう、8時前だった。家の前まで、付いてきてくれた、内村と喋り過ぎたのだろう。

即刻シャワーを浴び、そのごスマホを見る。ただ、丁度家に帰ったころの内村からのメールを返したところで夕飯が出された。全く触れていなかった話題なのだが、家族構成について話すと、俺は、母と高2の姉と、父の四人で、暮らしていて、姓は、鈴木。俺の名前は、拓也だ。かなり、有りそうな名前なのだが、俺はとても気にいっている。夕飯は、ハンバーグだった。久しぶりだと思った。やはり、母の味はとても美味しく、失礼となるが、学校の給食よりは勿論おいしい。

だから、テレビでアフリカとかの難民のニュースを見ると、こんなに贅沢なことばかり考えている自分がいかに最低か、わかる時がある。


夕飯を食べ終わり、「ごちそうさま」と母に伝えると、母は何故か、何時もより嬉しそうに、「大会頑張りなさいよ」と言った。「うん」と言い残して、俺はそのまま二階の自室に引っ込んだ。この日は、学校の課題と、メールの返信のみをして、そのまま眠ってしまっていた。


「おはよう」

何時通り何人かから朝のあいさつというボールをパスされた。そこまで時間はないので、すかさず俺も、「おはよう」をそっと手渡す。実際はメールでだけど。

一階に降りるともう朝食の準備を姉と母がすませていた。そして、また、「おはよう」をプレゼントする。

朝食を素早くすませ、学校の用意をしっかりと確認する。

何時もより少し早めに家を出て、途中内村と合流し、学校を目指す、本当に三年間変わらない朝を今日も過ごしている。今日は彼も、何時もよりはやく、待ち合わせ場所に来ていて、昨日のドラマの話なんかをしながら、ゆっくりと登校する。こう言う代わり映えのない日々も好きだ。


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この愛は一生終わらない カエルウオ @ahins113

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