この愛は一生終わらない

カエルウオ

第1話「おはよう」

「おはよう」何気ない一言。その一つ一つの言葉のボールが、人によって、野球ボールであったり、ハンドボールであったり、様々である。人によって同じ言葉でも受け方が違うのだ。こんな話を、担任の赤木が、道徳の時間に言っていた気がする。誰にでも言える。それは、悪く言えば、「きれいごと」良く言えば、あーーー思い付かない。最近の俺は、地道に迫ってくる高校受験と、部活の最後の大会と、宛もない恋愛事情をベースに惑わされているようだった。


6月が始まるまであと3日。中旬にある最後の大会と、下旬にある期末テスト。何故両立しなければならない?と思うのだが、此が世の中学生の使命であると、中2病チックに考える。部活では小学校のころから、好きだったバスケ部に入っていて、副キャプテンという、称号を貰っている。決して此は望んだわけではないが、三年生の部員が4人しか、いないことと、副キャプテンは、二人必要という、謎のルールに従い、流れのまま引き受けている。

そして、期末テストとはというと、普段の成績で行くと、平均+20点は欲しいと思っている。しかし、先日今回の期末テストには音楽という、副教科が加わるということを、またしても、担任の赤木から聞かされた。


六時間の授業が終わり、掃除、終礼をてきとーに流したあと、体育館に向かう。体育館への道は一つだけなので、もう何度も同じ道を往復していることになる。

同じ副キャプテンの土居恭介と、一緒に体育館内の更衣室に向かう。更衣室は、バレー部と一緒なので、何かと何時も愉快である。


何時もよりは素早くナイキのシャツと、指定のバスパンに着替えたあと、バッシュをもって、靴下のまま、更衣室から十数メートル先の用具庫を目指す。そこで、自分でも名前を知らない、リングを出すための長い棒を片手でもって、途中バランスを取りながら、リングの下まで到達する。そして慣れた動作を、何時もよりゆっくりとする。此は普段一年生がする仕事なのだが、一年生は遠足に行っており不在らしい。二年生はなにかとサボりがちな者が多く、終礼も、長引くことが多いということで、渋々リングを出しているのが現状だ。

そんな調子で回し終わると、丁度、遅れて出てきた、土居が駆け寄ってきて仕事を替わってくれた。

彼はとても良いクラスメイトで、部活仲間、親友だと思う。


そして、次第に部員が集まりはじめ、キャプテンの大きな掛け声で今日も部活が始まる。

なんの変鉄もない、なにげない瞬間だ。

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