猫が爆弾を踏まずに踊りきるまでの、残酷で美しい神話。

占い師は石でできた赤子を見つけ、ドラクロワと名付ける。
村の族長となったドラクロワは、神の王を殺す。
流血占い師のプーは自らを占うことができず、
花占い師は百万遍の花を咲かせる。
爆弾を愛する大公妃は爆弾舞踏会を開き、
額にハート模様のある白猫は二足歩行で踊る。
人類は責任転嫁の罪を犯して楽園を追われ、
わたしたちは読まれることを待っていた書物を読む。

神話は幾許かの真実を含みながら、語る者によって姿を変える。
都合の悪い真実を覆い隠すために。
自らの罪から目を背け、疾しさを遠ざけるために。

複雑なこの物語の魅力を上手く語ることは私にはできませんが、
どうか、猫が爆弾を踏まずに踊り終えたときに、
プーやドラクロワや、この物語を通り過ぎた
全ての人々を思い出して、拍手をしてほしい。

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