本企画の内容や作者の方のたゆまぬ活動、それらの素晴らしさは他の方々のレビューで語り尽くされているので割愛しますが、「紹介文」という今までになかった手法で作品を紹介するという試みが新鮮で、面白かったです。
紹介文を読みつつ目を閉じると、おぼろげながら映画の予告編のような映像が頭に浮かんできます。もちろん、読んだことのない作品であれば実際の内容との違いはあるかもしれません。けれどそれもまた一つの楽しみ。実際にその作品を読んでみて、想像との違いに驚いたり、おかしみを感じたり、感動したり。そういったプラスアルファをこの企画では与えています。
印象的な台詞、想像をかき立てる言葉。わくわくさせてくれます。
このような紹介文を作るためにはもちろん作品を完全に読了し、その魅力がわかっていないとできないもの。いや本当、素晴らしいです。
レビューのひとこと紹介はもののたとえです。
男女の出会いが星の数ほどあるように、カクヨムの中での作品との出会いも星の数ほどチャンスがあります。(ちょっと盛ってますが)
全く知らない作品に出会うためには、ジャンルやタイトル、キャッチコピー、作者の書いた紹介文や読者の書いたレビューなどを参考に読むかどうかを決めるわけですが、はっきり言ってそれって結婚相談所で相手の情報を提供されるのと同じようなものの気がします。
良いところしか知らされない。そんな感じ。
でもこれが近所のおばちゃんから持ち込まれた見合い話だったらどうでしょう。
「山田さんちの一郎くん、有名国立大出て公務員やってるし、背は高くて穏やかでとってもいい人よぉ」
もちろん、良い所を褒めて情報を提供してくれるでしょう。
けれどもきっと「もうちょっと身なりに気をつければ見栄えよくなるんでしょうけどねぇ、ほらそこはアナタが服を見繕ってあげたらいいんだし」なんて、ちょっと気になる点も教えてくれるんじゃないでしょうか。
例えが長くなりましたが、今作もまさにそんな近所のおばちゃんがくれるような、一歩踏み込んだ作品紹介です。
ジャンル、字数問わず87作品を企画内で読み、その一つ一つに感想をつけた作者様が、各作品の良い所をピックアップして紹介してくださり、同時にちょっと気になったところなども率直に伝えてくれます。
作者様の雑談がちょいちょいと入るのもまたご近所のおばちゃんぽくて気軽に読めてしまいます。
様々なジャンルやテイストの中から興味がある作品に出会える可能性はとても高いと思いますし、ちょっと気になる点を逆に確かめたくもなったりします。
とにかく読んでみたい意欲が掻き立てられるのです。
新しい出会いを求めているあなた、まずはこちらの見合い話を受けてみませんか?(^^)
自分の作品が取り上げられたからレビューを書いた、というわけではありません。それだけは、はじめのうちに断っておきます。
そのうえで、どうしてもレビューを書きたくなったのは、作者さまがお持ちになっている「作品に対する敬意」を素晴らしいものと感じたからです。
いち部分だけをさらりと読んで紹介記事を書かれる方も多いなか、この作者さまは、作品をきちんと読み込み、そして続く読み手を優しくいざなう、そんなレビューをお書きになります。
もしカクヨムでどのような作品から手を付ければよいものかをお悩みになったときには、ぜひここに載せられたレビューをお読みになってから決めてみられることをおすすめします。