歴史小説としてはやや珍しい19世紀フランスが舞台。
かの有名なナポレオンを中心とした物語が史実に基づいて描かれます。
日本の戦国時代や幕末と比べると馴染みがない時代ではありますが、非常に分かりやすくかつテンポよく史実が語られますので、その世界観に無理なく入り込んでいけます。
また本作の白眉は、緊迫した戦場での戦闘シーン。
臨場感溢れる筆致で軍人達の命を懸けた戦いが描かれることで、彼らの潔い生き様が伝わってきてぐいぐいと物語の確信へと引き込まれてゆきます。
長編歴史小説としては、やや短めの本作です。
タイトルの意味や最後の種明かしなど、物語の構成も秀逸です。
馴染みがない時代と敬遠せず、是非ともご一読ください。
ナポレオンがエルバ島を脱出したとの報。
かつて彼を退位させたフランス軍元帥ミシェル・ネイは、再び皇帝とともに戦うことを決意する。
まずは、連載完結おめでとうございます。
最初に「登場人物」を見たとき、知っている人物はナポレオンだけでした。
ナポレオンが主人公だと思って読み始めたのですが……実は、ナポレオン自身が何を考えているのかは、案外わからない。
一度背き、再び彼の部下となったネイの目から見て、皇帝の姿はかつてとは違っていた。
皇帝に信頼されていないのではと逡巡しつつも、祖国フランスのために、戦う。
……ああ、これ、ミシェル・ネイの物語なんだ。
踊ってるだけで会議していなかった人たちはともかくとして。
実際に戦場に立つ軍人たちは、フランス側も、敵側も、真剣に戦っている。
ウェリントン公爵。
前進元帥ブリュッヒャー。
ブラウンシュヴァイク公爵。
改めて「登場人物」に戻ると、当初は文字でしかなかった名前が、確かに存在した人物として迫ってきます。
そして、決戦、ワーテルロー。
タイトルの意味がわかったとき、感動しました。
男たちの熱い100日間を、皆様もどうぞご覧ください。