読んでいて、とても不安な気持ちになりました。

ホラーというと幽霊とか殺人鬼とか、そういう恐怖に怯えるというほうを連想するのですが、このお話は、心に恐怖や不安を生み出す和のホラーというタイプだと思いました。

SFの要素もありながら、母の死で狂ってしまった父と娘の主人公がリアルでそして、怖くもあります。
でも、家族の死は、家族をそれくらいに狂わせてしまうほどに辛いものだということも、理解ができるのでとても納得できました。

何度も何度も作られる「ママ」と、ママなしでは会話をしないと父娘という奇妙な関係が、恐怖を演出しています。

最後のオチは、一番、そうなってほしくはないという展開でありつつも、ホラーならば、このオチが一番、しっくりくるなと思いました。

きれいで丁寧な文章で書かれたホラーというのは、くせになりそうです。