「この続きあなたならどう書きますか？」を受けて

「アストラルゲートは今日も超満員札止め」

　―お題―

　私の名前は、ユリエ・エクソメイル。この世界の神様である。

　でも、最近の世界はつまらない。なんたって、一向に魔王に挑もうとする人たちがいないんだもん。

　私の能力『アブソウル』を使えればよかったんだけど、生憎、私の能力は、私が地上に降りた時にしか使えない。

　あ、ちなみに 私の能力『アブソウル』は、絶対遵守。私の言ったことは、全て聞いてしまうというすごい能力。

　まあ、そんな能力持ってたところで、使う時なんてないんだけどね。

　住人に魔王に、戦いに行かせるようの命令すればいいと思うでしょ。でも、それじゃあ面白いろくないの。

　だって、それじゃあ、見ているこっちが面白くないし。

　で、今日も今日とて、暇だなーと思って、世界の様子をみていると。

　異世界の門（アストラルゲート）が開いた。

　アストラルゲートが開いたと言うことは、訪問者（死者）が来たということだ。

　アストラルゲートが出てきた人は、髪が少し短くて、少し、つり目の少し怖いという印象を受ける容姿だった。

　そして、その男の子は、口を開いた。

「あの、ここどこですか？」

「あ、ここですか。ここは、死者を異世界へと繋ぐ、通路みたいなものですよ」

「へえーそうなんだ。ってことは、つまり、俺も行かされるわけ？その異世界に」

「はい」

「嫌だね」

　ん？なにを言っているのかな？この彼は？

「ねえ、聞いてるの？」

「……あ、はい勿論」

「じゃあ、教えてくれないかな？異世界に行かないくてもいい条件というやらを」

「いや、そんな方法ないですから」

「へえーそなんだ。じゃあ、これは、なにかな？」

　少年の右手には、私の魔導書が握られていた。

「って、それどこで拾ったの⁉」

「え、そんなのそこに落ちてたけど」

　っく、私としたことが。大事な魔導書を置いておくとは。まあ、いいのです。今私の能力『アブソウル』を使って、異世界に行ってもらいますから。

　さっきは、地上に降りないと使えないと言ったけど、それには、例外がある。

　──死者であるであること。

　という条件が。

　つまり、今の私には、使える。

「能力『アブソウル』を展開。命令:今から異世界（アクア）に行きなさい」

　結論を言おう。

　なんにも変化は起きなかった。

　なんで、なにも起こらないのよ～～～～！！！

　なに、この子死者じゃないの！神様とかいう気。ふざけんじゃないわよ！私この能力使うと、顔つきからなにからないまで幼くなっちゃうんだから！

「なに、それ！能力『アブソウル』を展開って。しかも、命令とか言ってたわりになにも起こってないし。それに、なんか幼女になってるし。笑えるわ！」

「なんで、私の言うことを聞いてくれないのよ⁉」

「いや、知らんけど。まあ、ともかく、一つだけ言っといてやるよ。今の方が可愛いぞ」

「なんでよ～～～！！！神様（私）の言うことは絶対なんだからー！！！」

　―ここから、続きになります―

「ところで、女神さん…。」

　少年は不敵な笑みを浮かべる…。　

　まだ、幼さ残るはずの少年の笑みに、ユリエはぞくっとなった。

「この本にさ、『アブソウル』って書いてあるページがあるんだよね…。」

「…⁉」

「これを女神さんに使ったらどうなるのかなぁ…。」

　今度はゲスな笑いを少年が浮かべる。

　うかつであった、人を呪わば穴二つ。当然、魔導書が相手にあるということは、同じ魔法を使われる可能性があるということ。

　しかし、そういわれながらも案外女神は落ち着いていた。

　そう、その魔法には前提条件があるのだ。

「残念ながら、その魔法は死者に対してしか使えないのよ。まったく意味がないものだから、さっさとその魔導書を返しなさい。」

　そうやって、返してというように右手を少年に差し出した。

　するとその右手を、少年につかまれてしまった。

「ほう…。死者にしか使えないんだ？」

　先ほど以上の、ゲスな、いや悪意に満ちた笑いを少年は浮かべた。

　女神は戦慄した。なんだ、この少年、なにをかんがえっ・・・・

「ぐぁっ！？」

　そう思った時、右手のリストをクラッチされたまま。少年の左腕が自分の首もとに勢いよくめり込んだ。いわゆるラリアットが、細い女神の首筋に打ち込まれたのだ。

（こ、これは、レインメーカー！？）

　レインメーカーは、新日本プロレスのオカダカズチカが使うフィニッシュホールドだ。

　容赦なく、地面にたたきつけられる女神様。

　しかし、攻撃は終わらず、リストをクラッチされたまま、引きずり起こされ、再び少年のレインメーカーが女神を襲う！

「あぁっ！！」

　ふたたび、血を吐き、倒れる女神。

　それでも攻撃は終わらない、倒されるたびに引き起こされ、

　レインメーカー！

　レインメーカー！

　レインメーカァー！

　レインメーーカァーーー！

　衝撃のレインメーカー１０連発を女神は受け切ったのだった。

　そしてようやく、少年はリストのクラッチをほどいた。

「今夜はアストラルゲートに金の雨が降るぜぇ―――っ！」

　両手を天に掲げて、少年は決めポーズをとっていた。

　しかし、１０連発を食らっても、まだ女神は生きていた。

　女神の両目に炎が宿る！

　彼女の闘魂はまだ死んでいなかったのである。

　一瞬のスキをついて、ポーズをとって油断している少年の後ろにドロップキックを叩き込む。

「グアっ！」

　頸椎に命中して少年は、前のめりになって倒れた。

　女神は、わき腹に鋭くト―キックを叩き込み、うつぶせになってる少年を仰向けにさせた。

　そしていつの間にかそこにあったコーナーポストの頂上へと上った。

「食らいなさい、女神の怒りを！」

―４８０°回転する女神の飛翔攻撃（フォーエイティーエンジェルフォール）―

　ドゴォーーーン！！

　名の通り空中で一回転半前宙をして、その勢いのままに少年に全身をぶつけた！

　あまりの勢いに、爆風が起こり、リングが壊れんばかりに揺れた！

　そして、どこからともなくカウントが入る。

「ワン、トゥー、スリぃーーーーーーーーーーーーーっ！！」

　女神の華麗なエンジェルフォールが決まり、少年から３カウントを奪うことに成功した。

　『わぁーーーーーっ！』

　『ユリエ―、防衛おめでとー！』

　この華麗な逆転劇にアストラルゲートからは、盛大な歓声が送られた。

　無事、ユリエは魔導書を防衛することに成功したのだった。

「あぶない、今度からはもっと厳重に保管しておかないと。」

　こうやって魔導書を狙って、ユリエを訪ねる挑戦者は後を絶たない。

　彼女についたあだ名は、『飛翔女神ユリエ』

　これで１２回目の防衛に成功した。

　王者ユリエの戦いはまだまだ続くのだった…。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり

　※なんで、こんな展開になってしまったのか僕にもわからない。本当は少年がただ女神を殺して、アブソウルをかけてもてあそぶつもりでした…。