杉三中編 母の音
増田朋美
第一章
母の音
第一章
杉三の家。杉三と蘭が昼食をとっていると、インターフォンが鳴る。
蘭「なんだろう?」
声「おーい杉ちゃんいるか、ちょっとお願いがあるんだけどさ。」
蘭「華岡だ。なんだ、また長風呂か?」
杉三「おひるごはん時にお風呂に入るの?」
声「ちょっとさあ、両手がふさがってるから、ドアを開けてくれないかなあ。」
杉三「わかったよ。」
と、玄関に異動してドアを開ける。すると、華岡が全身汗まみれになって立っている。その背には、一人の女性が乗っている。
蘭「誰だいこの人は。馬鹿に奇麗な人じゃないか。」
杉三「貂蝉みたいにきれいな人だ。」
華岡「そうなんだよ。急いで連れてきた。とにかく何か食べさせてやってくれ。きっと、何十日も食べ物を口にしていないはずだ。」
杉三「わかったよ。じゃあ、カレーを作るから、座って待っててもらってくれ。」
蘭「杉ちゃん、こんな時にカレーはいけないんじゃないの?」
杉三「じゃあ、キーマとか、軽いカレーにするよ。作ってくるから待っててな。」
と、台所へ移動してしまう。
蘭「とにかく座らせてやろう。」
華岡「上がらせてもらうぞ。」
と、靴を脱いで彼女を背負ったまま中に入り、食堂の椅子に彼女を座らせてやる。台所では、杉三がカレーを煮ている音がする。
華岡「じゃあ、蘭。急いで走ってきたから、風呂を貸してくれ。もう汗が噴き出てたまらない。」
蘭「ちょっと待て。彼女をどこから連れてきたんだよ。それくらい説明しろ。」
華岡「ああ、公園を通りかかったら、公園のベンチの下で倒れていたんだよ。だから急いで連れてきた。」
蘭「本当にそれだけか?」
華岡「そうだよ。ほかには何もない。とにかく風呂に入らしてくれ。もう体中汗だらけで、気持ち悪くて仕方ないのさ。俺は、汗のにおいが大嫌いだからな。おい、杉ちゃん、風呂借りるぞ。」
杉三「はいよ。入んな。」
蘭「全く、顔に合わず、綺麗好きだよな、お前は。」
華岡「人助けした後の風呂はうまいぞ。じゃあ、入らしてもらうからな。よろしく。」
と、どんどん風呂場に行ってしまう。
女性「あ、あ、、、、。」
蘭「どうしたんですか?」
ところが、彼女は意味が分からないという顔をする。
蘭「ああ、安心してください。怖がる必要は全くありません。僕らは、犯罪者でも暴力団でもありませんので。」
さらに困った顔をする女性。
蘭「もし、差し支えなければ、名前を教えてください、ちなみに僕は伊能蘭です。」
女性「、、、。」
蘭「ああ、もしかしたら、」
と、近くにおいてあったカバンの中から手帳を出して、そこに「伊能蘭」と名前を書く。
蘭「これが僕の名前です。」
彼女はしっかりと頷く。ということは、耳は大丈夫らしい。
蘭「よかったら、お名前をここに書いてくれませんかね。」
と、鉛筆と手帳を取り出して、彼女に渡す。彼女は、同じページに書いて蘭に渡すが、
蘭「あれ、なんだこの文字は、なんて読むのですか?」
ところが、彼女もわからないらしく、答えが出ない。
蘭「あれれ、、、。なんなんだろう。失礼ですど、あなたはどちらからお見えになったのでしょう?」
杉三がトレーの上にカレーの入った皿を乗せてやってくる。
杉三「はいできた。カレーだよ。具合が悪そうだから、辛さは抑えた野菜カレーだよ。食べて。」
と、彼女の前にカレーをおき、匙をめのまえに差し出す。
女性「あ、ああ、、、。」
何かいいたそうだが、出てこないらしい。
杉三「ほら、食べや。早くしないとまずくなっちゃう。」
女性は匙を受け取って、カレーを口にする。しかし、すぐに吐き出してしまう。
蘭「ああああ、大丈夫ですか。」
女性は、何か言いたそうだが、それより先に嘔吐物が口からあふれ出る。
杉三「大丈夫?これはひょっとすると、コレラにでもなったか?」
蘭「いや、日本でコレラは流行らないよ。」
杉三「カレーは刺激が強すぎたか。じゃあもうちょっと刺激のないおかゆさんでも作ってあげようか。」
女性はまた何か言いたそうな仕草をする。
蘭「耳が遠いわけではなさそうだ。きっと、どっかほかの国の人なんじゃないか。杉ちゃんにはわからないかもしれないけど、これ、漢字に似ているけど、漢字には見えないんだよね。」
と、手帳を開く。風呂場から、炭坑節が聞こえてくる。華岡の声か。
蘭「華岡の奴、また何かしでかしてくれたな。」
声「ご、ご、、、。」
杉三「ダメだよ。そんなこと言っちゃ。」
蘭が女性のほうを見ると、女性は泣いている。一生懸命何か伝えようとしているが、口の動くのが見えて声が聞こえてくるだけで、何を言いたいのか全く分からない。
杉三「あんまり無理しなくていいよ。僕がカレーなんか作るべききじゃなかったね。ほんとにごめんなさい。」
蘭「でもどうするんだよ。病院に連れていくにしても、症状が通じなければ、先生は診察してくれないだろうし。でも、病院には連れていくべきだよな、、、。そうなると誰か通訳を頼まなきゃ。この文字、漢字のように見えるけど、どっか違うんだよ。だれか、こういうものに詳しい人はいないかな。」
杉三「青柳教授は?写真に撮って送ってみればいいじゃないか。」
蘭「そうするしかないか。」
と、スマートフォンで写真を撮り、ラインで共有する。
蘭「あ、教授から返事が来たよ。何々、今日は面接があるから、代わりに水穂をよこしますだって。」
杉三「水穂さんでもいいや。とにかく、僕たちでは何もできないよ。それに、放置していたらかわいそうだから、何とかしてもらおう。」
と、風呂場のドアがばたんと開いて、華岡が出てくる。
蘭「出たのかよ。華岡。」
華岡「ああ、いい湯だった。杉ちゃんありがとな。」
蘭「もう、いい気持ちになったのはお前だけだぞ。彼女、日本語がほぼわからないみたいじゃないか。僕らは本当に困ってるんだから。」
華岡「ああ、すまんすまん。警察の性質上、困ってる人を見ると、ほっておけなくなるんだよ。」
と、華岡のスマートフォンが鳴る。
華岡「はい、華岡。」
声「警視、また長風呂ですか。早く帰ってきてくださいよ。でないと、捜査会議がいつまでも始められませんよ!」
華岡「そうか、今日は捜査会議の日だった!」
蘭「また忘れてる。そういう大事なことを平気で忘れる男が、よく警視まで昇格したよな。これだから、警視はサラリーマンといわれても仕方ないんだ。」
声「だから早く来てください。警視、長風呂なんかしている暇はありませんよ!」
華岡「わかった。すぐ行くよ!お前たちも時間に余裕ってもんはないのかよ!」
声「ずっと待ってるんですから、早く署に戻って来てください!」
華岡「わかった!」
と、電話を切る。
華岡「そういうわけなので、俺は先に帰るよ。じゃあ、この貂蝉さんを任せたよ。必ず何とかしてやってくれ。公園のベンチで放置しておいたら、かわいそうでたまんないじゃないか。こんなに奇麗でもあるのにさ。よろしく頼む!」
と、上着を着て、急いで玄関を出ていき、猪突猛進で署に向かって走っていく。
蘭「結局それか。あれでは長風呂しても、意味がないよな。」
杉三「そんなことより、彼女をどうやって回復させてあげられるかを考えよう。」
蘭「言葉が通じなければ何もならないよ、杉ちゃん。病院に連れて行こうにも、症状を話せなくてどうするの。文字も漢字を書けないみたいだし、、、。」
女性がまた何か言いたげなそぶりをする。
蘭「書いてくれ。」
と、手帳を手渡す。彼女はそれを受け取って書き始め、蘭に手渡す。
蘭「はあ、今度のは、漢字だとわかるところもいくつかあるけど、、、。これは中国語なのかなあ。でも、漢字だとわからないような文字もはいってるし、、、。」
と、インターフォンが鳴る。
声「蘭。来たよ。あらましは教授から聞いた。僕も言語に詳しいわけではないが、何かお手伝いするから。」
杉三「水穂さんだ!おーい上がって。今、とてもかわいそうな人がいるんだ。ちょっと通訳してあげてくれる?蘭の話によると、漢字に似ているが、そうではない文字を書くらしい。」
ドアが開いて水穂が入ってくる。
水穂「遅くなってごめん。で、その人の書いたものとは?」
蘭「ああ頼むよ。これ、なんの文字なんだ。読んでみてくれ。」
水穂「僕も、青柳教授ほど言語力があるわけではないので、あんまり期待しないでくれよ。」
蘭「そうなんだけど、これ、読んでみてくれよ。とにかく、困ってるんだから!」
と、手帳を手渡す。
水穂「たぶん、これ、満州語に漢字が混じったものじゃないか。しかも、漢字を間違えている。」
蘭「この女性が、書いたものなんだけど。」
女性を顎で示す。
水穂「あ、なるほどね。つまりこういうことだ。彼女の名は漢語でラオ・ピェンピェン。漢字表記は老人の老に翩翩と書く。珍しいね。満州語を今時読み書きするなんて。」
蘭「じゃあ、どこが具体的にどう悪いのか、質問してみてくれよ。今から病院に連れていきたいが、言葉が通じないのではどうしようもないから。」
水穂「いや、次の文にはこう書いてある。ただ症状が強かっただけで、その必要はないと。」
杉三「えっ、コレラじゃないの?」
水穂「全然違うよ。これはね、女性の特恵だから、僕らは手を出さないほうがいい。」
杉三「と、いうことはつまり、赤ちゃん?」
水穂「そういうこと。」
翩翩がまた何か言う。
水穂「そういうことね。公園のベンチでおむすびを口にしようとしたら、急に気持ちが悪くなってしまったんだって。それを太った方が見つけて、ここへ連れてきたんだって。」
蘭「全く、華岡の奴、、、。」
水穂「ああ、やっぱり華岡さん?あの人のよくやりそうなことだ。警察の人間には、向いてないような気がする。」
杉三「でもさ、ご飯を食べれないって、ちょっと大変すぎないか?」
蘭「杉ちゃん、誰でもそうなるんだよ。赤ちゃんができると。」
杉三「でも、何か食べさせてあげたいけど、、、。僕、やっぱりおかゆ作ってくる。」
蘭「あんまり余計なおせっかいはしなくても。」
杉三「でも、うちの母ちゃんから聞いたことがあるよ。赤ちゃんの分まで食べないといけないってさ。できるだけ刺激の少ない味にするから、やっぱり食べてから帰ってね。」
と、吐いたものを丁寧に拭とり、皿を片付けて、再び鍋を取り出して、調理し始める。
杉三「食べやすいように全粥にしてあげるからと伝えて。」
戸惑ったような顔をする翩翩。
杉三「たまには甘えちゃってもいいんじゃないの?常ならぬ身なんだし。」
蘭「結局杉ちゃんはそうなるのね。その発想はどこから来るんだか。」
杉三「もう、余計なこと言わなくていいよ、蘭。だって、ただでさえ赤ちゃん出産するって不安なのに、言葉がほぼわからないともっと深刻なんじゃないの。」
蘭「なあ水穂、日本で暮らしているのか、聞いてみてくれよ。」
水穂、通訳する。満州語で答える翩翩。
水穂「まだ、先月日本に来たばかりなんだって。中国の遼寧省から来たそうだ。あの地域は特に、清王朝発祥の地でもあるから、満州民族が多いんだ。」
蘭「ああなるほどね。そういうことか。中国には少数民族たくさんいるもんね。確か、55の部族が。」
水穂「そう、55だよ。まだ識別されない人もいる。」
蘭「そうなのか。」
水穂「お隣の国だけど、大変な国家であることは間違いないと思うよ。」
蘭「まあ、そうなのかもしれないけど、日本語は全然話せないのかな。少しばかり話せないと、不自由になってしまうよ。」
と、杉三が、トレーの上に粥の入ったどんぶりを乗せてやってくる。
杉三「全粥だよ。今度こそ食べてくれ。先ほどはカレーを作ってしまい、申し訳なかったね。これなら、何とかのどを通るのではないかなあ。」
と、翩翩の前にどんぶりをおいて、匙を優しく差し出す。
翩翩「あ、あ、、、。」
杉三「そういう時はね、日本語ではありがとうというんだよ。」
水穂、通訳する。
翩翩「ありがとう。」
杉三「やったあ!一単語だけでも覚えたじゃない。よかったね!本当によかった!」
翩翩「ありがとう。」
杉三「いいえ、どういたしまして。お礼なんかいらないから、とにかく食べてみてくれ。」
翩翩は軽く敬礼しておかゆを口にする。そして、こぼれるような笑顔。
蘭「おいしいのかなあ。」
杉三「顔を見ればわかる。通りやすいように、本当に全粥にした。もう、ご飯粒なんて、ほとんどないじゃないか。」
蘭「そうか。それならするりと入って食べやすくなるな。」
それをよそに、どんどん食べ続ける翩翩。
水穂「まあ、ご飯だけは、誰でも食べるものですからね。これだけは世界共通の言語といえるかもしれない。」
匙をテーブルに置く翩翩。
蘭「何か言いたそうだな。」
杉三「食べ終わったときはね、ご馳走様というんだよ。ごちそうさまと。」
翩翩「ごちそうさま。」
杉三「はい、お粗末様!」
翩翩「あ、あ、ありがとう。」
杉三「どういたしまして!」
また、何か言う翩翩。
水穂「今日は助けていただいてありがとう。しっかりと日本語を勉強してまたお礼に来ます。そういっている。」
杉三「いや、大したことしていないから、お礼なんかいらないよ。ご主人は、日本人なの?帰ったらすぐ、日本語教室とかさがしてもらってさ、勉強に行ってくるといいよ。」
翩翩「あ、ああ、あの、、、。」
水穂「ご主人、もういらっしゃらないのですか。」
蘭「ええ、それは大変だな。まあ、どうしてかはあえて聞かないけど、異国の地で一人で子供さんを抱えて生きていくのは、簡単なことじゃないですよ。やっぱり、誰か頼りになる人を見つけておいたほうがいいと思う。」
水穂、通訳する。
水穂「そんなこと、とてもできる身分ではないって。」
蘭「理由を聞いてみてよ。」
水穂「漢族ではないから。」
杉三「でも、中国に住んでいたんだから中国人なんじゃないの?」
蘭「杉ちゃん、そういうわけにはいかないの。少数民族なんだから。アメリカでも人種差別が酷いでしょう。それと同じなんだよ。」
一生懸命説明をしている翩翩。
水穂「ああ、なるほどね。つまり、漢族の仲間と活動していたけど、みんなにねたまれてやめさせられたわけね。まあ、女というのは、そうなりやすいもんですよね。わからないわけではないけれど。確かに女の道は嫉妬であるという言葉もあるからね。」
蘭「い、一体どういうことなんだ、しっかり説明してくれよ。」
水穂「つまりこうです。彼女はもともと中国国内でも、日本でも人気のあった音楽バンドで二胡を担当し、ソリストまで勤め上げた実力者だった。でも、そのバンドが、人気がなくなって、彼女はそこから無理やり脱退を命じられて、仕方なくこっちに来たんだよ。おそらくだけど、きっと船に乗れば金持ちになれるとか、そそのかされてきたんじゃないのかな。おそらく漢語も漢字もさほど理解していないはずだ。最も、少数民族にはそういう人は多いと教授から聞いたことがあったよ。原始時代の人と変わらない生活をしている種族も珍しくないようだから。」
杉三「じゃあ、水穂さん、赤ちゃんのお父さんって誰なんだろうか。」
水穂「かわいそうだから、あまり口に出して言わないようにしてやろう。杉ちゃんなら、わかると思うけど、浄閑寺に行ったことがあったらしい。三ノ輪の。」
杉三「なるほどねえ。本当にかわいそうだな。それじゃあ、せめて言葉位覚えてもらいたいな。」
蘭「一体どういうことだ。何も意味がわからない、、、。」
杉三「女性の人権侵害だから、口にしないほうがいい。でもさ、浄閑寺に行ったことがあるのに、何もしてくれなかったのだろうか。」
水穂「まあ、江戸時代じゃないからね。遠くからやってきて、そういう世界にしか身をおけなかったというのも、もう少し社会が寛大になってくれればと思わずにはいられないよ。」
杉三「じゃあ、僕らで何とかしてやろう。そうして二度と同じところに身を置く必要のないようにしよう。いいお母さんになれるように。」
水穂「そうだねえ、、、。でも、こういう人たちへの視線はまだ厳しいだろうな。」
杉三「そんなことは関係ない。困ってる人であれば、誰でも手を出すのは当たり前だ。ましてや、この人は、何か罪を犯したわけでもなければ、莫大な借金を背負ってこっちに来たわけでもないじゃない。それなのに、こういう生活をするしかないのなら、どう考えてもおかしいよ。僕らは、助けてもらったときのうれしさを一番知ってると思うから、それを分けてやるってのは、悪いことじゃないんじゃないか。」
蘭「杉ちゃん、具体的にどうやって助けるんだよ。杉ちゃんのいうことはあまりに抽象的すぎる。」
杉三「とりあえず、住む家を探してあげようよ。」
蘭「無理だよ。不動産屋に連れて行っても、言葉がわからなければ、何にもならない。それに僕らだって、通訳がなければ通じないし。」
杉三「かといって、吉原に帰らせるのもかわいそうじゃん。だったら、僕のうちの空き部屋に住まわせてあげようぜ。水穂さんも、定期的にここに来てさ、ちょっとコーチしてあげてよ。」
蘭「水穂、お前体のほうは大丈夫なのか。」
水穂「まあな。この状況から判断すると、杉ちゃんのいうとおりにしなきゃいけないと思う。」
蘭「僕は概要がわからない、、、。」
杉三「蘭は鈍いからね。そのうちわかるよ。じゃあ、吉原に帰るのをやめてもらって、うちの空き部屋でのんびり暮らしてもらおう。」
翩翩もこの論争の一部を理解したらしい。杉三の説明を、涙を流して聞いている。
翩翩「ありがとう、、、。」
杉三「いいえ、どういたしまして。」
翩翩「どういたしまして?」
杉三「そう。ありがとうの後に必ずいう日本語だ。これもしっかり覚えてね。」
翩翩「はい。」
杉三「じゃあ、これからよろしく。僕は影山杉三。略して杉ちゃんだ。こっちは、親友の伊能蘭で、こっちも親友の磯野水穂だ。男三人、頼りない存在だけど、頑張って支えるよ。よろしくね。」
と、右手を差し出す。水穂が、満州語で、右手を出せというと、彼女は涙を見せながら、杉三の右手を握り返した。
蘭「杉ちゃんって、読み書きできないのに、なんでこういうかっこいい発言ができるんだろうか。」
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