第3話 願い

丁度いいことに、僕は一人暮らしだったので、彼女を迎え入れることは容易かった。「これは…何?」少女はカップラーメンを手にして、首を傾げた。

「それは、即席ラーメンといって、忙しい人のための食物なのさ。」

「ソクセキ…?ふうん…」

みどりちゃん(今決めた)は、興味なさそうにそう呟くと、上手に箸を使って麺を持ち上げると、小さな口へ運んだ。彼女の賢さに感心しながら、先ほどから気になっていたあることを聞いてみた。

「みどりちゃん、あの…なんで僕の言葉が分かるの?」

「この端末が、瞬時に翻訳してくれているの。…おかしい?あと、みどりって私の名前?気に入ったわ。」みどりちゃんは穴みたいな左目を気にしていなかった。湯気が当たってかゆそうだな。僕は思った。

「君にお願いがあるの」

「僕、秋夜ね。」

「秋夜。私の左目を探して。そうしないと、家族を皆殺しにするわ。」

「いきなり物騒なこと言わないでよ……僕、家族いないから、意味ないよ。」

みどりちゃんは、僕の言葉を聞いて、急に泣きながら謝った。

「あはは、いいんだよ。」

「どうすればいい?」

「もし見つからなかったら、僕のをあげる。」

みどりちゃんは、拍子抜けたように一時固まった後、頷いてまたラーメンを啜った。雪は、明日も積もりそうだ。白く濁った窓のカーテンを閉めて、彼女の寝息を聴きながら、眠りについた。

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一つ目の恋 雪村紫苑 @shion0918

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