蘇軾「蝶戀花・春景」より超訳「インヴィジブル」

花褪殘紅青杏小(花はたいざんの紅、青杏は小なり)

燕子飛時、綠水人家繞(燕子の飛ぶ時、綠水の人家にめぐる)

枝上柳綿吹又少(枝上の柳綿は吹きて又少なし)

天涯何處無芳草(天涯、何處いずこにか芳草無からん)


牆裏秋千牆外道(しょうの秋千、しょうがいの道)

牆外行人、牆裏佳人笑(牆外の行人、牆裏の佳人は笑う)

笑漸不聞聲漸悄(笑はようやく聞かず、聲は漸くしょうなり)

多情卻被無情惱(多情、かえりて無情ののうこうむる)



ほら、もうすっかり春だ 色あせた花のあとには青い果実

水辺の家に燕が来たよ くるくる飛んでいたよ

柳の花が風に舞い踊るよ ふわふわ旅立っていくよ

ほら、草の匂いのする春の丘は ここにあるんだ


ねえ、ブランコを漕ぐ君 僕は君の壁の外にいるんだろう

壁の中は見えないんだよ 笑い声だけ聞こえてきたよ

それもだんだん消えたよ 声すら聞こえなくなったよ

ねえ、近付いた分だけ余計に今 苦しくなったんだ



***


from 守城のタクティクス

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884546369

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【歌詞集】この胸の叫びは飼い慣らせないから 馳月基矢 @icycrescent

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