神のみぞ知る世界

僕の名前は、鈴木太郎だ。

多分、この文章はヤバいことになっているのだろう。分かっている。

どうしてこんなに虫食いなんだろうと思っただろう。

だが、これは僕がかかっている病気のせいなんだ。

その名は「話半分病」。その文字通り、半分しか見えない。正確に言えば偶数番目の文字は見えないし、書けない――それに、聞き取れないし、喋れないんだ。

この性質のせいで、僕の社会人生活はもちろん、今日を生きることすら、難しくなっている。

偶数番目の文字がといったけど、平仮名と漢字の場合でちょっと様子が違うんだ。「あさが」という会話だったら、「あ が」になるけど、「朝が」になると「朝 」になるんだ。

振り仮名だってまともに振れないから、大変だよ。

なんたって「鈴木太郎すずきたろう」は「ス キ ロ 」になってしまう。漢字の上では「鈴 太 」なのにね。残酷なことだ。

それじゃあ、どうして生活できるかというと、こんな僕に神様が救いを与えてくださったのか、理想的な彼女が世話をしているからなんだ。

こんな僕に対しても、微笑んでくれるだなんて。本当に嬉しいよ。


ああ、彼女がやってきた。え、なんだって?


死 。


えっ、ひょっとして、それってまずい言葉じゃない?

「死」が一文字目で、句点が三文字目ってことは……もう、一文字しかないよ?

どうするつもりなのかな。でもまあ、二文字目に当てはまるものはいくらでもあるし、問題ないって……


… ね


おいこら。

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話半分病 脳幹 まこと @ReviveSoul

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