もしも花咲か爺さんの意地悪じいさんがカーネギーの「道は開ける」を読んだなら ver.1

達見ゆう

もしも花咲か爺さんの意地悪じいさんがカーネギーの「道は開ける」を読んでたらver1

 昔々、あるところにおじいさんがおりました。おじいさんには白犬のシロを飼ってそれはそれはかわいがっておりました。


(中略)


 無理やりシロを借りて、宝は無いかと連れ回した意地悪じいさん。しかし、出てくるのは食器のかけらなど瓦礫ばかりでした。

 意地悪じいさんは激怒しました。

 しかし、意地悪じいさんは欲深ですが物欲だけではなく、知識に対する欲も深かったのでカーネギーはもちろん読破しておりました。


 瓦礫が出てきても、奥に何かあるかもしれないと諦めずにたびたびシロを借りては掘らせ、それでも見つからないので範囲を広げて掘っておりました。相変わらず瓦礫ばかりでしたが、ふと意地悪じいさんは気づきました。

「この掘った後の土地、掘り返しっぱなしはもったいないな…。」

 いつしか沢山の畑を開墾しており、意地悪じいさんは農場王になっておりました。

 意地悪じいさんは本誌のインタビューにこう答えています。

「そりゃ、最初はハズレだと怒りました。しかし、もっと掘れば出てくるのではないかと思ったのと、私はケチですから瓦礫を除いた土地がもったいなかったのですよ。

 そこで、掘り返した後に種を植えていたらいつしか立派な畑になってましてな。チャンスは目の前にありました。シロは長い目で見れば財宝よりも稼げると教えてくれたのですな。」


 意地悪じいさんは高額納税者となり、時の人となりました。

 それからシロも功労者という事で、意地悪じいさんから高級ドッグフードが沢山贈られました。飼い主のおじいさんにも高級ササニシキ一年分が贈られました。

「シロ、お前のおかげだな。」意地悪じいさんは満足げです。

「ワ、ワン」

 シロは「いやあ、違うんだけどな。」という顔で困惑したように吠えるのでした。

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もしも花咲か爺さんの意地悪じいさんがカーネギーの「道は開ける」を読んだなら ver.1 達見ゆう @tatsumi-12

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