今日も和気藹々と怪しい実験に興じる、他の部活から煙たがられる「科学部」。
しかし突然の落雷により、気がつけば科学部全員でタイムスリップ! しかも古生代ペルム紀というマニアックすぎる時代!
普通の人間たちなら生還を絶望し、恐怖に飲み込まれる状況でも、コイツらはなんか──すっごく楽しそう!
タイムスリップサバイバルものとしての楽しさはもちろんのこと、この物語にたくさん出てくる知識はまさに「人類の武器」そのものです!
この物語を読むか読まないかで、あなたの生存確率が左右されるのは間違いない!
古生代でも生き残りたければコレを読め! 知識は武器だ!!
という訳で、勝手に「夏休みの課題図書」に推薦です!
カタカタ文字を読むのが苦手な人、数字が連なっているのが苦手な人。
――最初に深呼吸しましょう――
大丈夫です、この作品を読み切れたら、アナタの前には『科学』という無限の荒野が広がっているのが理解出来るでしょう。
一文字一文字を理解しようとしないで、流れるように読みましょう。そうすれば、ほーら不思議、アナタの脳細胞はグチャグチャになって来て、どんな科学のムズカシイ言葉も感覚で捉えられるようになるでしょう。
科学を難しく考えないで、とにかく楽しんじゃえ! えーそうなの、ふへーそうきたか! を感じられる作品です。
レッツ、エンジョイ! サイエンス!
※良い子の科学読み物と言いつつ、ちょっと青春している部分は、まあご愛嬌で。
科学部4人が過去にタイムスリップし、サバイバル生活が始まります。
タイムスリップ先は、古生代のペルム紀。あえて恐竜時代ではなく、巨大な昆虫や両生類が繁栄していた時代を舞台にしているところが、マニアックな心をくすぐります。
部長だけど小さくて可愛い気象・地学屋の"二号"。
ナイスなボディーとさばさばとした性格が魅力な生物屋の"姐御"。
白衣を羽織り意外な特技と嗜好を持つ物理屋の"教授"。
科学はさっぱりわからない文系の"金太"。
そして、彼らの話をわかりやすく解説したりしてくれなかったりツッコんだりする作者の分身こと"解説君"。
4人と1人の掛け合いは面白く、ネタについていけないこともありますが、登場するカタカナの名前を調べて「へぇー」となったり、中学や高校で習った気がする!と懐かしさを感じたりもしました。
もしかして受験勉強にも役立つ!?かは、わかりませんが……(汗)
笑いながら気軽に読めて、いろんなウンチクを知ることができますよ!
とまあ書きましたが、古生代に行けば……ですよね。
実際、役に立ちそうな知識がわんさか出てきます。
これだけでちょっとした図鑑を眺めたくらいのいろんな科学的、雑学的な知識が得られます。
それがこの作品の何とも言えない魅力の一つ。
そして物語に登場する生物や植物の多彩さと魅力的な姿、そのリアルで楽しい描写がまた魅力の一つです。しかもサバイバル生活においてはどれも等しく、生きていく素材の一つとなっています。
普通そんな奇妙な魚とか貝とか食べようとは思わないはずですが、作者の想像力はそんなところにも切り込んできます。
あの植物があったら籠をつくるとか、ベッドを作ってみるとか、あの魚からロウソク作るとか、もう子供のようにいろいろと想像力が食いついていきます。
その様子はもう尋常ではありません。古生代の動植物に対する、愛と楽しさがあふれちゃってる感じです。大好きすぎて食べちゃってます。
そういった物語を楽しく引っ張っていくのが、四人の科学部の面々。もちろん個性派ぞろいの一癖も二癖もある連中です。
彼らが、雷の衝撃で古生代に飛ばされ、その知識を武器に過酷な環境で生き抜いてというのが(今さらながら)あらすじなのですが、お色気とアホさ加減をスパイスに、どこまでも楽しくサバイバル生活を繰り広げます。
作者をご存知の方なら納得の、怒涛で読ませる文章力で、お色気もアホも蘊蓄(うんちく)という知識も全部丸ごと、怒涛の勢いで転がっていくような物語になっております。
ぜひ読んでみてください!