エー、落語家がよく、芸の終わりに、おあとがよろしいようでと申しますな?
落語の席には、前座、二枚目、真打とありまして、あとに行くほど芸達者となっております。
そこで前座と二枚目は、自分より先達である人物の顔をたて、お客に期待してもらうためにいう訳です。
おあとがよろしいようで、ってね。
するってぇと、この小説はどうか。
まず発想が抜群だ。
あれやこれやと日常にある単語が、ありゃりゃこりゃりゃ?と煙に巻かれたようにトンデモ科学になりやがる。
目を引ん剝くようなびっくりを、あたしらに提供してくれるわけだねぇ。
徳利片手に、ヒックヒックと読みたいが……って、そりゃあしゃっくりか。
物語の構成がどうかってーと、またうまい。
初めはなんだかわからなかったもんが、読み終わってるころにはするっと理解できちまう。
のど越し爽やかな酒なんだこれが、もう病みつき。
総じてね、こりゃあ傑作だよ。
まさしく真打と言っていい。
真打だけに、切れ味も抜群だ。
さてね、このレビューから読んでくださるお客さんがいるかどうかってーのは、あたしにもわからないんですがね?
それでもひょっとしたらってわけで、こう締めさせてもらいたいと思いますよ。
この作品、じつに──おあとがよろしいようでm(__)m