皆さんご存知の「不思議の国のアリス」
不思議の国はアリスが見た夢の世界だった。
子供の頃は現実も空想も区別なく一緒に過ごしていた。
現実には存在しない世界。
けれど心の中には存在している。
そして子供でなくなってもその世界を旅することはできる。
優しいガイド役の白うさぎと一緒に。
17歳になったアリスが出かける自分探しの旅。
きっとね。
誰にでもあると思うんです。
その人、その人のワンダーランドが。
主人公の藍ちゃんに感情移入しながら自分のことも考えたくなる。
自分のココロに耳を澄ましたくなる。
そんな素敵な物語です。
秋の夜長、できれば小高い丘の上にぽっかりと浮かぶ三日月を空想しながらお読みになってください。
うまくやっていっているけど、「普通」を必死に演じている藍。
「普通になりたい」と願う、それでいてどこか自分の中のアリスを捨てきれない彼女の気持ちがひしひしと感じられました。結局はそれも、自分の一部だったんですね。すごく分かるし、とても好きです。
自分を見つめ始めるのって、かなり勇気がいるんじゃないかと思います。だから、最後の藍の気持ちは、とても勇敢なものなんじゃないかと。個人的には、アリスの丘で転んだ時の、気持ちの転換(明→暗)がすごくよかった。明るい気持ちになっていたときに、ふと気づく「どうせこんなことやっても」という気持ちの、じわじわと広がる暗さがなんとも言えません。
器用で、かつ不器用な二人。これから、つまずきつつも、がんばっていけますように!