余命777秒の幸運

シャル青井

777?

え、アンタ誰?

死神?

俺の寿命は後777秒?

いや待てって、いきなりそんなこといわれてもだな。

そもそも777秒ってどれくらいだよ。

えーっと、12分ちょっとか。

なんだまだそこそこ余裕あるじゃん。

いやねーよ。


677?


なんだよ677って。

え、もう100秒経過したの?

やべえよやべえよ。

お前は幸運だ?

なにが幸運だよ、俺は死ぬんだろ?

え、10分も死ぬ準備ができる人間なんてそうそういない?

まあ、そう言われればそうもかしれないけど、死にたくねーよ。

そもそもお前を信用できる根拠ってなんだよ。

好きにすればいいが、時間は減る一方だぞ、だって?

じゃあお前の言い分を信用するとして、10分でいったいなにをしろっていうんだよ。


477?


いやいや、なにカウントしてるんだよ。

止めろよ、お前の説明を聞いているうちは。

そういうのじゃない?

まあ、そうだろうなあ。

なんか少し冷静になってきた。

よくよく考えるとさ、俺、今死んでもなんにも困らないわ。

なんだよ?

え、希望を持て?

お前寿命を告げといてよくそんなことが言えるな。

なんだって?

俺の最期の一瞬をみんな見ている?

みんなって誰だよ。

まあいいよ。

最期に見世物になるくらい。

どうせもう終わりだ。


277?


いやいや、大事なこと話してるからな?

今そのカウントいらないからな?

まあ、俺の死を伝えるべき相手なんて元々いないし、そもそもなんで生まれてきたのかもわからないし、生きている理由なんて考えたこともなかったし、今俺を見ている奴らがいくらか笑ってくれるならそれでいいさ。

よし、覚悟は決まった。

ひと思いにさっさとやってくれ。

え、まだダメ?


あと100秒ある?


1分40秒って、そんな時間でいったいなにをしろっていうんだよ。

来世への願いでも叫べって?

来世なんてあるのか?

まあ死神がいるくらいだからあるのかもな。

じゃあ行くぞ。


次はもっと時間が欲しい!


「お時間です」

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余命777秒の幸運 シャル青井 @aotetsu

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