Episode2






「おはようございます、王妃様」


「お、おはようメル」


 メルに挨拶をされ、挨拶を返す。普段であれば普通の事なのだが、やけに大荷物を持ったメルに不信感を抱いた。


「メル、その荷物どうしたの?」


「王妃様には今日から旅だって貰います。」


「え?」


 同様を隠せなかった。









「メル。大事な事は初めに話せ...」


「私は挨拶をしただけです」


 そう言ってルドルフに反論するメル。いや、確かにそうなんだけどね。あの時点で荷物を持ってくる必要は無かったんじゃないかな?


 そんな事を考えながらも、説明をざっくりと聞く。


 まぁ確かにここに居るのは危険かもしれないな。まぁ魔界という時点で僕の心が休まる場所など無いのだが。


「すまない、綾汰。ワシの勝手な都合で...」


「今まで勝手な都合じゃなかった事がないので大丈夫です。」


 その言葉にショックを隠しきれていないルドルフ。悲しむのは良いけど、魔王が流石に泣かないで?


「本当は我々もついて行きたいのですが...」


「ワシらにもやらなければいけない事があるのでな...」


 メルとルドルフは悲しそうにそう言う。


 確かに今回の一件での課題は山積みだろう。しかし、また僕が連れ攫われたらどうするつもりなのだろうか。


「それは大丈夫だ。騎士団の精鋭が綾汰を命に変えても守護する」


「は、はぁ」


 なんか引越し一つに話が重たいなぁ。まぁ例の1件もあるのだろうから仕様が無いのだろうが。


 渡された荷物をチェックしつつ、皆と離れてしまうことに悲しみを覚える。


 まだ2週間しか一緒にいなかったが、とても長く感じた2週間だった。


「綾汰、その家のやつに何かされたらすぐ言うんだぞ?」


「え、あぁ、うん」


 出ていく前に心配になる事を言うのはやめて欲しい。今からそこに行くんだよ?


「それじゃあみんな行ってくるね」


「行ってらっしゃいませ」


「行ってらっしゃい」

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男なのに異世界で魔王の子を孕みました 山川里木 @yamakawa_satoki

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