まさに珍品・奇品が次から次へと出てくるお話。だけど、「持ってると危ないなあ」とわかっていても手元に置いておきたくなる品物が、絶対見つかります。
私の場合は、32話、33話に登場した「ホラ貝」でしょうか。ちょっぴり鬱陶しいところもありますが、なんだかもの哀しいような懐かしいようなじわっとした気持ちにさせてくれる珍品です。え? 抽象的でわからない? それはもう、今すぐ本編を読んでもらえれば!
「暇だ」「退屈だ」ではじまる日常が、気がつけばとんでもないトラブルや事件に巻き込まれている旦那こと、古島氏。国健部隊という真の全貌がまだ明らかになっていない組織にまつわるドラマが、深く静かに進行しているような気配があるのですが、巻き込まれ体質の彼はきっとまた知らないうちに渦の真ん中にいるような気がします。「大変でしょうけど、旦那、気張ってくださいね!」
古島氏と佳乃夫婦のほんわかした雰囲気が好き。『鎌倉ものがたり』という漫画の主人公カップルを思い出しました。どちらも、読んでほのぼのする癒し系カップルなので♡ 古島氏も一色先生も和服似合うし。
不思議な古道具を扱った連作短編集でございます。
主人公は骨董品屋の店主。特別な能力はどうやらなさそうです。
ただし、奇妙な古道具には相当詳しいご様子。
彼の過去は今のところ作中で語られてはおりませんが、妻と二人で店を切り盛りしているその姿はいたってどこにでもいそうな若旦那。
そんな彼の日常が、奇妙な古道具たちによって淡く彩られます。
数話刻みで奇妙な古道具がひとつずつ登場しますが、その奇妙さは大袈裟なものだったり、深刻なものでは決してございません。
読後感は、ホッとしたり、クスッとしたりするものばかり。
不思議な怪異や逸話を集めた『日常系伝奇小説』を是非ご一読下さいませ。