刺激的な飯テロ

「辛い」

 それを一口食べての感想は、一言。

「そりゃあ辛いでしょうよ」

「ピロシキって辛くないよな」

「え? カレーパンみたいなもんじゃないの?」

「嘘だろ」

 そりゃあないぜ、なんて言う泣きそうな声を聞きながら、ピロシキ(?)を頬張る。

「美味いじゃん、カレーパンみたいで」

「っていうかカレーパンじゃん! これカレー粉使ったんだろ?!」

「うん」

「じゃあカレーパンじゃねえか!」

 何故そこまで泣きそうなのか。よくわからないまま、もう一口、ピロシキ(?)を食べる。やっぱり美味い。

「我ながら上手く作れたと思うぞ、ピロシキ」

「ピロシキじゃねえよ! カレーパンだよ!! っていうかカレーパンにしても暴力的な辛さなんだけど?!」

「隠し味に七味唐辛子と鷹の爪を少々」

「ピロシキじゃねえ!!」

 頭を抱えて叫ぶ姿が滑稽だなあ、と思いながらまたピロシキ(?)を食べる。美味いなあ。

「っていうか辛い!! 七味唐辛子と鷹の爪とカレーとかバカかよ!!」

「何だよ、人が趣味で作ったピロシキに文句ばっかりつけやがって」

「だからピロシキじゃねえって言ってんだろ!! ピロシキって何か知ってんのか?!」

「カレーパン」

「ピロシキじゃねえ!!」

 叫びと同じような勢いで握りしめられるピロシキ(?)が可哀想だった。なんてひどい。ピロシキ(?)にそんな仕打ちが出来る人間がいるなんて、信じられない。

「っていうかそんなに辛いならなんか飲めば?」

「なんか飲み物あんのかよ」

「クワスって言うんだけど」

「何それ」

「なんかロシアの飲み物らしい」

 何だよそのロシアブーム、という呟きを横で聞きながら、グラスに黒い液体を注ぐ。しゅわしゅわと炭酸が弾けて、一見すればコーラの様に見える。

「ふーん」

 そんな液体をじっと見たあと、一口。

「……辛い」

「手作りしてみました」

「これ、材料は?」

「黒パンを発行させてみました。隠し味に七味唐辛子と鷹の爪を少々」

「天丼かよ!!!」

「天丼じゃなくて黒パンだしそもそもクワスだし」

「クワス知らないけどクワスじゃねえよ!! これ絶対クワスじゃねえよ!!」

 何でそんなに叫べるかなあ。そんなことを思いながら、クワス(?)を一口飲んだ。うーん、炭酸と辛味が合わさって刺激的なお味。ピロシキ(?)とよく合います。

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15min. 桃月ユイ @pirch_yui

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