田舎のバァちゃんが、ぎっくり腰になっちゃった。
一人でお見舞いに行くはめになった涼君でしたが、田舎の家で待っていたのは、すごくおっかないバァちゃんと、そうめんの好きなやさしいジィちゃんだけではありませんでした。
なぜって、涼君の一族は……。
おかしなシツジと涼君のちょっと(かなり?)風変わりな夏休みにつきあっているような、わくわくハラハラする楽しい物語です。
語り手は涼君なんですが、小学五年生男子の本音がものすごく可笑しくて、笑い過ぎて涙がでました。
涼君のポジションから少しずつ眠田家とオバケの謎が解き明かされる構成の見事さ。
個性的な登場人物たちの魅力。
後半の手に汗握る冒険と涼君の活躍。
全編にわたる語り口の楽しさ。
すべての面において完成度の高い上質な児童文学です。
大人が読んでも楽しいですが、これは子どもの頃に読みたかった!
いいところで終わっているので、どうしようもなく続きが気になります。是非ともシリーズ化して欲しいです。
つばさ文庫の受賞ページから読ませていただきましたが、めっちゃ面白かったです!!
ネタバレになりそうなので、詳しくは書けませんが、まずはとにかくキャラ立ちが半端ないです。
主人公を筆頭に若干おねえ口調のじいちゃん、威厳ありまくりの婆ちゃん、丁寧口調でおしとやか系と思わせておいてのツン系のヒロイン、自由奔放のオバケ、そして満を持して登場する見掛け倒しの兄ちゃん……とにかく凄いとしか言いようがありません。
物語の構成としましては、本当にテーマがしっかりしています!お婆ちゃんの家から裏山のお社までの小さな冒険を繰り返す中で、『オバケと友達』というキーワードを中心に主人公の成長がしっかりと書かれておりました。
小学生を対象とした作品なのですが、子供にわかり易いモチーフを用いて『他者を見かけで判断してはいけない』ことと『他者を無条件で信用してはいけない』ことの両面を描き、その中で悩みながら自分なりの答えを見つけていく主人公のさまは凄く深いものが感じられました。
そして、特筆すべきは読みやすさと、物語への没入感です。
最初は少ない情報量で読みやすく書かれており、徐々に様々な内容が盛って積み上げられていき、スーッと入り込めていつの間にかどっぷりとその世界観に浸っていました。
とにかく面白いことは間違いありませんのでぜひ皆さんにも全力でお勧めいたします!!