死神屋敷

これは、私が20代のころにメイドをやっていた屋敷の話です。

その屋敷では私以外に3人のメイドがいました。1人は高齢なメイド長さん。あと2人は双子の17歳ほどであろう女の子だった。

私とメイド長さんだけはなぜか雇い主の姿を見たこともなく、声も聞いたこともなく、屋敷の雇い主が住む別館には足を踏み入れることも禁じられていた。ただ、双子の女の子だけは知っているそうだ。別館に何があるのかも、雇い主の顔も声も。

ただ、何を聞いても


「あなたはまだ知らなくていいの。そうだね。あと1か月だね。」

「そうだね。あと1か月。」


「「キャハハハ」」


というだけだった。ただ、あと7日でちょうど1か月になる。


「あとなのか。それじゃあ私たちとお約束。あなたは別館に入る前に7日間。別館に入ってから、7日間。ずぅーっと、ずぅーっと、ずぅーっと。何があっても、何があっても死神って言葉を口にしないこと。これが私たちとの約束ね。」

「約束ね。」


「「キャハハハ」」



あれから7日がたった。私は死神ということもなく、無事に過ごせた。


「約束、守ったね。じゃあ別館に行こうか。」

「行こうか。」


「「キャハハハ」」


別館の扉の前に移動し双子が扉の取っ手を握る。


「開けるよ?」

「開けるね?」

「目をつぶって。」


ギイッといって扉が開く。


「目を開けちゃだめだよ。そのまま右に3歩、左に2歩、右に12歩。」


言われたように私は歩きました。


「目を開けていいよ。」

「ここはね、死神様の屋敷。前にいるのは死神様の入った棺。」

「死神様はここにいる。」

「そう。死神様は能力を私たちにくださった。」

「分けてくださった」

「私たちは死神。」

「メイド長さんは黒い馬を人にしたの。」

「あなたが運んでいた料理は死神様がお食べになったわ。」

「「キャハハハ」」


「どうする?死神になって永遠の若さと人を殺せる能力を手に入れる?」

「それとも私たちに殺される?」

「それとも」

「「死ぬまでこの屋敷に務める?」」


そこで私の記憶は途切れていた。



今働いている屋敷は、誰の屋敷なのでしょうか。

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本当にあった怖い話(大嘘) @SakanadaRen

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