ポイ捨てロンギヌス~落ちてた棒が聖槍だった件についてお話しませんか?~

楠木黒猫きな粉

第1話 この状況について責任者さんお話しませんか?

目の前に……棒が落ちている。

「でも、これさ……木の棒じゃないよね」

目の前に落ちている棒(鉄製?)。というかこれ、落ちてるって言うより刺さってるよね?グッサリいっちゃってるよね?

「これ、人死ぬよね。落ちてきたの刺さったら死ぬよね」

ま、まぁ……死人が出てないからいいんだけど。

「と、とりあえず……抜いてみるか」

棒を抜こうとするために触れてみる。

『マスター認証。結果、別人。死ね』

「は?」

いやいや、なんで棒が喋るの……

『疑問。死ねと言ったのに何故生きているのですか?』

「はぁあ?」

『質問。あなた様は人語を話せますか?』

「いや、流石に喋れるわ!!」

『提案。では会話をしましょう』

いや、あの、なんで棒がこんな流暢にしゃべってるの……怖いよ

「…………じゃあ会話ついでに質問だ。なんなんだよお前」

『解答。私は聖槍ロンギヌス。マスターを探して世界を放浪中』

えぇ……ロンギヌスってアレじゃん……アニメとかに出てくるアレじゃん

『追記。交遊関係は聖剣のエクスカリバーちゃん、魔槍のゲイボルクちゃん、妖刀の村雨ちゃん。その他諸々』

「いや、なにその危ないラインナップ……というか喋るのか……」

『解答。喋ります。凄く喋ります』

怖い、特にその事実を普通に受け止めれてる自分が怖い。

「というか、ロンギヌスってここに刺さってたら捨てられるんじゃ……」

『え?』

普通にえ?って言いましたよ。え?って。さっきのしゃべり方はどうした!

『す、すてられるって……なんで……?』

「いや、そりゃこんな危ないもんが落ちてたら……廃棄されるでしょ」

『で、でも私……次に転移できるの五年後なんですけど……』

「………………」

あ、詰んだ。これは……あれだ……ご愁傷さまでした。

『いやぁぁぁ!まだ死にたくなぁぁぁぁい!かっこいいマスターに仕えるまで死にたくなぁぁぁい!』

さて、この棒。欲望まみれだな。びっくりするくらいまみれてる。

「え、え~と……じゃあ……一時的に俺がマスターになろうか?」

『はぁ?なにいってんですか?五百回位死んで出直して来てください』

キレそう!!!!

「あのさぁ、別に俺がお前のマスターになりたい訳じゃないからな?ただお前が自分好みのマスターを見つけるまで保護してやるだけだからな?」 

『うーーーーーん』

めっちゃ悩んでますね。どんだけ嫌なの……

『………………一時的に……マスターに、し、てあげ……ま、ま、ます』

俺が落ちてたら聖槍に嫌われてる件について。

『さっさと……私に、触れてくれませんか……』

すっごい苦い声がするんだけど。まぁ……触るけど

「はい、触ったぞ」

『ま、マスター……認……証……うぅ……承認……マスターに、一時登録……わた、しの所有権……は、貴方に、譲渡……されま、す』

どんだけイヤなんだよ!?一時的にでもこんだけの拒否反応が出た時点で俺がどんだけ嫌われてるかわかったよ!

『しょ……正直……吐きそうです……』

「そろそろ、泣くぞ!」

さて、マスター認証も終わらしたし抜くか

「よいせ、と」

ドゴォ

地面が抉れた。なんで槍を抜いたら地面がえぐれるんですかねぇ

『あ、ごめんない。余りの気持ち悪さに形状が変化してしまいました』

あ、コイツ反省してねぇ。すげぇ捨ててぇ。でも、助けると言った手前……ねぇ。

「あーはいはい。さっさと帰るぞ」

『うぇ……嫌ですけどついていきますよ……本っ当に嫌ですけど!』

なら、ついてくんな!!!

『ん?……んんん?え、ちょっと待って下さい!』

「なんだよ。急にどした?」 

『同類が……こっちに、来ます……』

は?

「は?」

ふと、上を見上げた。光る物が落ちてきてた。

ズドォォォォン

『な、なんで……貴女が此処に……』

土煙が晴れて出てきたのは一振りの剣だった

『エクスカリバー』

ロンギヌスが言ったのは最も有名な剣の名前だった。

『ヤッホー、ロンギヌス……元気してるー?』


俺は今の状況を見直してみた。

右手にはロンギヌスを持って、そして目の前には伝説の聖剣がつきたっている。

なるほど……これはあれだな。理解の範疇をこえた。

俺は息を吸い込むとこう叫んだ。


「誰かこの状況について説明してくれませんかねぇ!!!」






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