いつになく深い眠りに落ちたせいで、もう窓の向こうの空は燃えている。ほとんどいつも、夜と朝の間に眠り、朝と昼の間には目覚めるのに。

 胸に靄のようなものを感じながら、ぼうっと眺める空の色で、昨日の少女が思い出された。首についた接吻の痕が、私の脳裏に咲いた。今日も彼女は電車に乗っているだろうか。

 いまだふらつく足取りのまま、私は急いで家を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

鉢開 しゃくさんしん @tanibayashi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ