2017.8.5〜今
そこから先はあっという間に時が過ぎた。
葬儀屋の人と父親が打ち合わせをし、葬式やら告別式を行なった。
火葬のあと、あっさりと骨になった母親を見ても、ただただ虚しいばかりだった。
そして、ずっと気がかりでいる約束があった。
僕の最新作の小説を母親に読ませる、というもの。
それは誰にも理解のできない意地のような何かのせいでそれは叶わなかった。
だがここで、僕はある一つのコンテストに出会っていた。
それは、高校生限定の小説コンテスト。
『キミにしか書けない"物語"を』の文字。
今しか書けない物語。
僕にしか書けない物語。
それは、約束を守れなかった贖罪に成り得るだろうか。
パソコンを立ち上げ、キーボードの上で指を踊らせる。
こんなのは、本来人に見せるような物語ではない。
死を迎えた母の美しい生き方を魅せたいわけでもなく、残された家族の悲劇を描きたいわけでもない。
ただ、母親が死ぬまでの僕の想いを母へ少しでも届けたかった。
ただそれだけの、独り言。
親愛なる母へ
今まで本当にありがとう。
あなたの息子は、こんなにもあなたが好きでした。
それこそ、あなたへの物語を小説にしてしまうくらいには。
どうか、お幸せに。
あなたへの物語 八坂ハジメ @spart819
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