明るさに向かう時間

@tomokunagisa8

第1話

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 心が前を向かなかった。そんなことも気づかなかった。あの時はなにを考えていただろう。身体が動かなかった。声がうまく出なかった。張りつめて、本を読んだ。身体が痛かった。


 

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1

「あなたのことが大好きになりました」

そんな、投げかけられた言葉。好きってなんだろうな。でも、その日からその人は私の前によくあらわれるようになった。

「ちょっとまだ、よくわかんないから、友達になりたい」


 その人のことは知っていた。小学校が同じだった。中学校も同じだった。黒い髪で、白い肌はっきりした感じの人だった。なんとなく遠目には見ていた。関わり始めたきっかけは夏にあった合唱祭だったようにおもう。彼女はクラス委員で、合唱祭の件でまとめる役であった。だいたい、こういったものはクラスがやる気がなく、委員は使命感からはりきらなければならない。今回もそういったわけで、その子が困っていた。だから、それから思い出す度に自分でも恥ずかしいと赤面することになるのだが、その子のがんばろうとクラスの前で言った言葉に大声で「はい!」と答えてしまった。そのこはそのこと友達になっていた。同じクラスで話すこともときどきあった。だけれど、困ったようなその人の顔を助けたいような、そういう気持ちがわいてきたのであった。クラス全員私を見ていた。その子も驚いた顔をしていた。自分も驚いた。その日の休み時間にクラスでその子も大声で、大好きになりましたといわれることになった。そんなことがあってから、その子と話しをする機会も増えていったのであった。


「けんちゃん、太宰先生きらいなの?」

藤崎さんと同じ高校に通うことになった4月。電車から降りて10ふん程歩いた先にある学校に向かう途中であった。

「なんでそう思ったの?」

「一緒に書店いくと太宰先生いつもディスってるから」

「んー。なんかペシミストに加えて素直な言葉を発してない感じが苦手で回りもあったことないのにそういう感じの作家さんだと思われてるところがあるから嫌いっていうかかかわりたくない。辛気臭い。」

「先生が草はの影でないておられるぞー。」

「他人が他人に影響することはないとかいってる人だからなんとも思わないよ。それに今僕と太宰先生のうまが合わないだけだよ。」

「そうだねー。なんとなく食わず嫌いでいろいろいっちゃうのは悪い癖だとおもうなー。そういうとこが初対面の人緊張させるんじゃー?」

「それもあるかなー。気を付けるよ。」

学校にいったら朝テストがあるため、藤崎さんは簡単な暗記ものの参考書を開いて歩いている。横をみると、藤崎さんの顔は思慮深い顔で参考書を眺めていた。

「けんちゃん新しいおうち慣れた?」

「うん。いい感じ」

簡単に答えようと思った。

「引っ越し忙しかったね」

学校の靴箱についた。

「またあとでね」

なんとなく名残おしい感じで別れてた。




 








 

 

 

 





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