三国志や水滸伝などで、メインストーリーとは別の挿話が描かれていることがしばしばある。この作品はそのような挿話のようで、この作品が組み込まれた作品を読んでみたい気持ちにさせられる。それは作品世界、張り詰めた空気、新旧の愛憎、奇譚的なストーリーによって魅力的に仕上げられているから。美しい描写で織られた不思議な世界を是非楽しんでいただきたい。
ホラーのようであり、時代物のようであり、それでいて純愛ものでもある。この短さですっぱりとまとめた作者の力量に脱帽。