イシコロ人生百景色(転生したのに人ですらない!?)
幽谷澪埼(第二垢
ぐしゃッと俺の人生はあっさり幕を閉じました。
──今日もまた、平凡な毎日、平凡な日常、平凡な生活があると思ってた──
それがあっさり終わるなんて、一体誰が想像出来ただろう?
遠くから救急車の音が聞こえる。人の悲鳴も。あー……もしかして俺は、死んだ、の…か……?
──なんてあっさり終わるんだ──
幾ら平凡だからといって、死に方まで平凡極まりないとは…。どこまで平凡のカガミなんだよ、俺はよ……。
そう、発端は…──
────────────────────────────────────────
「あ…」
気付けば身体が動いていた。
横断歩道の中頃を歩く、小さな少年。
そこに突っ込んでくる、居眠り運転の車。
少年は…気付いてない。
だったら……だったら見てしまった俺が動くしか、ないじゃないか。
特段正義感の塊って訳でもないけど、黙って見過ごせるほどのゲスでもない。あくまで平凡。それが俺だ。
だから手を伸ばした。
だから助けようと思った。
その結果…──
自分が死ぬなんて毛の先程も思わずに。
まさに今の俺は『天に召された』状態なんだろう。
だって頭から血を流して、息すらしてない俺が生きてるとは到底思えない。
あーぁ生きてたら今日は音ゲーしようと思ってたのに。
あーぁ生きてたら友だちと買い食いするかな、なんて思ったのに。
あーぁ……
俺が助けたハズのあの子は無事だろうか?
あの子はこれから自分を責めるだろうか?
俺の葬儀に来てくれるだろうか?
全部──
あの子次第だ。
なんて、思ったりして、る…のに
後悔なんて無いと思ってたのに。
いざこうして自分の惨状を目の当たりにすると
『あぁ俺、死んだんだな…』
なんて実感させられて。
酷く…やるせない気分にさせられる。
──思わず手を伸ばしただけの俺が、死ぬなんて…──
「──てめぇが
「え…?」
突然声をかけられて振り向いて、思わずぶふぁッと吹き出す。
だってそこに居たのは…──
ムキムキマッチョな上に半裸のオッサン!!!!!←←
──え、何これ、罰ゲームか何かなのか…? ムキムキマッチョのオッサン来たら普通に泣くでしょ……──
とうのムキムキマッチョは腕組みして俺を見下ろしてらっしゃる……
そして、いきなりむんずと襟首を掴まれた。
「う"に"ゃ"あ"ッ"!?」
「何猫みてぇな声上げてんだよ、気持ちわりぃ奴め…」
いや、いやいやいやいや!? なんで俺なのさ、気持ちわりぃと言いたいの、こっち!
──そして俺はムキムキマッチョのオッサン(謎)に誘拐されました。
イシコロ人生百景色(転生したのに人ですらない!?) 幽谷澪埼(第二垢 @yashumi
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