死にたがり兎と死神オオカミ

吐血猫

第1話「死にたがり」

「私なんか、消えてしまえばいい。」

「友達も恋人もいない、家族のお荷物でしかない私なんて。」


正方形の閉ざされた箱の中で彼女は今、首吊りを試みている。

彼女の名は、宇佐見 月乃(ウサミ ツキノ)

今年成人を迎えた、社会不適合者。

所謂、ニートというやつだ。

そんな彼女が何故死にたがっているのか、これまでの彼女の経緯を説明しよう。


【月乃 幼少期】人見知り、臆病な性格で環境に馴染めず、本がお友達。

【月乃 思春期】対人恐怖症、悩みを相談できる人も居らず、引きこもりになる。

【月乃 成人期】社会復帰を試みるも上手くいかず、死にたがる傾向に陥る。


そして成人を迎え月日が経った現在、彼女は死のうとしているのだ。

さて、本題へ戻ろうか。


「お母さん、お父さん、出来損ないで親不孝の娘でごめんなさい、今までありがとう。」

そう言い残し縄に手をかけたその時だった。


窓ガラスに人影が見えたのだ。

首吊りは死ぬまで時間が必要だと聞いたことがある…もしも誰かに知られたら…。

慌てた私は急いで窓を開け、気付けば話しかけていた。


「あの、なんでもします!だからお願いです!誰にも言わないでくだs…」

そして人影の正体を見て、絶句したのだ。


≪つづく≫

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