第2話「謎の少年 前半」

そこには、空中に浮いているオオカミのような人間のような真っ白な天使のような姿があった。

目の前の状況についていけず固まっていると彼の紅色の目が合った。

あぁ、ダメだ、何が起きているんだろう、頭がグラグラする。

「…?ぇ、ちょ…っ」

慌てて私の方へ向かってくる彼が見えた瞬間、私は意識を失った。



あれから何時間が過ぎたのだろう、目を覚ますと見慣れた天井。

私はいつも寝ているベッドに寝ていた。


あれは全部夢だったのだろうか…、いや私は確かに死のうとしていたはず。

縄を掴んだ感触だってこんなに鮮明に残っている。

それにしてもあの少年は一体…?


そんな事を考えていた時だった

「すぅ…すぅ…。」

誰かがいる…!直感でそう思った私は枕を抱きかかえ部屋の様子を伺った。


部屋のクローゼットを開けようとベッドから足をおろそうとしたその時

なにか柔らかくて温かい感触が爪先に触れた。

「…っ!?」

驚きすぎて声も出せないまま、私は恐る恐る足元に視線を落とす

「ん…、すぅ…すぅ…」

そこにはあの夜に見た謎めいた少年が眠っていた。



≪つづく≫

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