~エピローグ~


 プリントシールが公園の入り口に落ちる。

 また風が吹いて飛ばされる前に――と、俺は足早にそこに向かった。


 すると、俺が手に取る前に誰かが拾ってくれた。


 俺は謝意を述べながら、顔を上げる。


 制服を着た女子。

 多分、高校生だろう。

 ただ、俺の通う高校ではないのは確かだった。

 

 栗色の髪の毛を風になびかせる彼女は、眺めていたプリントシールから目を離すと、次に俺に向けた。


 とても綺麗で澄んだ瞳。

 

 恥ずかしくて顔が熱を帯びる。

 それなのに、視線を剥がすことのできない引力がそこにはあった。

 

 何かを訴えるかのように彼女は俺を見続けていて――次の瞬間、潤んだ瞳から零れる涙がほほを伝った。


 プリントシールを握ったままの彼女は、やがてハンカチで涙をぬぐう。

 すると、こう言った。



「このプリントシール、半分は私のでいいんだよね」



 意味が分からなかった。

 でも――、


 でも彼女の相好そうごうを崩した顔がプリントシールのカルロッテの笑みと重なったとき、俺はその可能性に行きついた。


 ――それは、何も荒唐無稽なことじゃない。

 ――絶対にあり得ないと断じることなどできやしない。


「ようやく、あなたとちゃんと向き合える。全てを話すことができる。もう我慢することもなく、あなたのそばにいることができる」


 そう、俺が異世界『ドワフリア』に転移したように、彼女もまた別の方法で――。



 


「これで寄り添えるね」


 


 

 彼女はもう一度、微笑みを浮かべる。

 それはやっぱり俺の知ってる小さなあいつにそっくりで、俺はこのとき神に感謝するかのよう本気でこう思ったんだ。




 異世界テンプレって最高じゃん――と。




 ~fin~

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ガリバーな俺は異世界を救う。コロポックルな君は俺を助ける 真賀田デニム @yotuharu

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