「ガレオン船と茶色い奴隷」覚書

作者 芝原岳彦

43

15人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

造船技術が向上し、大航海時代という好奇心に満ちた一時期、西欧から旅立った多くの冒険者たちが類稀なエピソードを残しました。
本作品は学生時に勉強したけれど知っているようで知らないこと、歴史の隅をつつくような逸話の数々を短編として紹介してくれます。
歴史にあまり興味がない人も是非、お出かけの際には携帯してほしい作品。熱い時代の記憶にいつの間にか興奮の中にいざなわれているはず。

★★★ Excellent!!!

イスラム国家に奪われたイベリア半島をキリスト教国家が取り戻そうとしたレコンキスタ(国土再征服運動)。その終結と同時に、長らく続いた戦乱の余勢をかって、あるいはキリスト教の布教や財力獲得のために、男たちは海に出た。冒険家として、海賊として。そして「大航海時代」と呼ばれる時代が始まる……。

……とここから多くの小説やエッセイでは、男たちの夢とロマンあふれる冒険譚が始まりますが、このエッセイでは、その光の影にある「闇」にも焦点を当てていきます。意志持たぬ存在としてガレオン船に積まれる奴隷たち、コンキスタドールがアメリカ先住民に対して行った殺戮と略奪、遠征先で雇われた傭兵たち。

また、日本の「倭寇」が大航海時代に位置づけられること、東南アジアの侵略に際して、戦慣れした日本人が傭兵として多く雇われていたことなど、大航海時代と日本人との関係も明らかにされていきます。

頭の中に点と点としてある知識が線でつながっていく。そんな面白さのあるエッセイです。