星を食べる夜

夜水 凪(なぎさ)

星を食べる夜

私は偶に物凄くお腹が空く

その空腹は、ご飯を食べても

甘いお菓子を食べても、治まらない

でも、ある時、その満たし方を知った


それは、星を食べること


街も人も犬も猫も鳥も

みんなが寝静まった真夜中、

そっとカーテンを開けて、窓を開けて、

誰にも見られていないかようく確かめて、

私を吸い込もうとする星空に、

落ちてしまわないよう気をつけて、

手を伸ばす

おいしそうな、きらりと光る星を

指で摘まんで、

ぱくりと一口

それは何にも代えられない、何とも言えない

幸せで、空腹に苦しむ私を

いっぱいにしてくれる


みんながこのおいしさを

知ってしまうと困るから

少し申し訳ないけど

私はこれだけは、誰にも教えないと、

そんなことを考えながら

きらきらと輝く星の畑に、また手を伸ばす

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星を食べる夜 夜水 凪(なぎさ) @nagisappu

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