どんな種類の曲でもいいが、サビの後にそれよりも壮大な大サビがあると個人的には気持ちいいもんだけど、この小説はそれと似た空気を感じた。叙述トリックや読者の予想を大きく裏切る作品はプラスをマイナスに、またはマイナスをプラスにといったように物語をひっくり返していくが、今作はそれとは逆に、ただ読者を感動させる、そのためだけに「感動要素」を幾重にも展開、一斉放射している印象だ。プラスにさらにプラスを足していっている。
そして何より凄いのは、この作品はそんなともすればクドくなりがちな手法を用いながらも、読者はまったくそんな気分にはならないところだ。おそらく作者はこれまでにたくさんの物語に触れてきたのだろう。膨大な読書経験を通じて作者自身の中に培われた「シナリオの型」が如実に表れているのだと思う。
高田お父さんの正体は全く考えずに読んでいたので、それを知った時にはまービックリ。「そういう系の話だったか〜!」と、いともたやすく騙されてしまった。
結論。
これが処女作とかそういう物書きのKOKOROえぐるのやめて。