そんな可笑しくも切ない事柄を淡々と綴った良作。
ストーリー自体は至って王道であり、最初から結末は示されているようなものだ。
しかし筆者の文章力や情景、展開の上手さから、ついつい読み進めてしまうような魅力がある。
誰しもどこか似通った経験を持っているはずで、それを思い出し自分に重ね合わせてしまうのではないだろうか。
この物語はある一人のバカな男の物語でありながら、きっとこれを読んだあなた、もしくはこれから読むあなたの物語でもある。
……あ。
あなたっていうのは、男限定です。
あと女性の方にも、女々しい男の心情ってこんなもんよっていうのを知ることができるので、おすすめです。
たぶんその方が新鮮味があって面白いと思います。
男だったら好きな女の子へ自分の気持ちを言葉に出来なかった経験が誰にだってあるはずだ。(ないとホザく奴がいたら随分寂しい青春送ってたんだなお前と言いたい)
自問自答して転げ回って、何も気づかずに、何も知らずに。
だけどそれにいつか気づいたとき、涙をのみ込んだ時、イキがるだけのなまいきだったガキはやっと「大人」になるのだ。
イケメンを除くたいていの男が心の裏側に秘めているほろ苦い、だけど輝かしい何かをどストレートに描いた作者に心からのエールを贈りたい。
あなたの書いた作品の中で、オレ様は彼が一番好きだ。このカクヨムの何万といる登場人物たちの中でこいつが一番好きだ。
きっとこの世界のどこかに彼がいるような、そんな気がする。
きっと、いつまでも彼はバカだろう。
そして、そのバカを心から愛する女性がいつか現れるだろう。
オレ様もいつか、きっとどこかでこいつと出会えるといいなぁ。
その時はオレ様もそのフラッシュモブに入れてくれ。
このクソみたいな社会の中でお前らしく輝く輪の中に、いつかオレ様も入れてくれ……