世界の終焉

夕星 エリオ

世界の終焉

 いつもいつも隣にいた君はもういない。


 それでも僕は生きている。


 事の発端は一年前。

 ある科学者が言った、

「1年後地球は滅亡する」

 と。


 最初は誰もそんな話信じなかった。


 けれどその半年後、世界中で同じニュースが流れた。


 地球は半年後滅亡する。助かるにはシェルターの中に入らなくてはならない。


 だが、そのシェルターには現在の人口の半数しか入れないので、このシェルターに入らない人からの推薦状を持った人のみシェルターへ入る事が出来る。


 そんな内容だった。


 それから世界で自殺する人が増えたり、犯罪者は激減したり少しづつ世界は変わった。


 そしてあの日。

 僕らは互いの推薦状を持ち、最後の愛を誓いあった。


咲夜さくや、ずっと愛してる」


「はい。私もずっと愛しています」


 抱きしめた君は涙を流していた。


「じゃあ、行こうか」


 シェルターに入るには、シェルターに入ってない人の推薦がいる。


 僕は君が、君は僕がシェルターに入ることを望んだ。


 何回話し合っても、互いに意見を曲げなかった。結果、僕らは神様がつくった運命に任せることにした。


「またね、まこと


「またね、咲夜」


 別れの挨拶はしなかった。


 シェルターの前の人だかりにそれぞれ混じっていく。


 孫を見送る老人、別れを告げる夫婦、ぎゅっと手を握る親子。いろんな人を追い越し、僕はシェルターの前に着いた。


「推薦状を出してください」


 シェルター前にある機械に推薦状をかざした。


「この推薦者はすでにシェルターに入っています。この推薦状は無効です」


 君は助かる。


 そして僕の隣にはもう君はいない。



 君がいない。


 その事実を僕が受け入れてしまったら、君は僕の世界から消えてしまう。


 君が消えたら僕の世界も消えてしまう。


 ああ、神様は意地悪だ。


 君がいない世界で僕がどうするのかを日記にでも書いて観察してるのか?



 世界は滅亡するまであと少し。


 僕は君との思い出の地を巡っている。



 僕らの世界を終わらせないために。

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世界の終焉 夕星 エリオ @Erio_moca

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