MUSCLE DREAM
とうとうこの時が来た。
私はあの台詞を高らかに叫ぶ。
「出たな!怪人!!このマッスルマンが相手だ」
「マッスルマンだと?貴様など構成員で充分だ。いけっ!」
「ギギッー」
何故か日本語を喋らない構成員が3人、こちらに駆け足で向かってくる。
人数がやや少ないのは不景気の影響だろうか?
よく見れば1人は黒の全身タイツが薄れる程度の小太り、1人は痩せすぎ、最後の1人は松葉杖をついていた。
「甘くみるなよ!!とぉう!!」
私は全身の筋肉をフルに活かした飛び蹴りで小太りの構成員を迎撃すると、
慌てている痩せすぎの構成員をビンタで倒し、
最後の構成員の松葉杖を奪い、海に投げ捨てた。
「貴様、なかなかやるな。ならば私が直々に相手をしてやろう」
「受けて立つ。私は正義のヒーローマッスルマンだ!!」
怪人は私との間合いを詰めると、一瞬の隙を突くように右ストレートを繰り出す。
どうやら改造手術を受けて間もない左腕の鋭利なハサミはまだ痛みが残るらしく使ってこない。
私はこの右ストレートを回避して必殺技を繰り出す。
「
高らかに叫び繰り出した特殊な軌道を描くローキックが怪人のバランス感覚を多く崩す。
背中から倒れ、蟹のような腹部を露わにした怪人に馬乗りになった私はここぞと会心の攻めを行う。
「
「
「
そして、最後の大技だ。
「
「ぐわぁぁぁぁぁああ!!」
怪人は私の渾身の一撃に何故か大きく倒れこみ爆発した。
......。
そういう夢を見た。
実に清々しい朝だ。
「暇な休日か、よし、筋トレでもしよう。あぁ、今日はプロテインの特売日もあったな」
今日はいつもより筋肉が捗りそうだ。
本当に清々しい朝だ。
それほどに良い夢だった。
私はまだ悪の組織に会ったことがない。
そもそも悪の組織を懲らしめる資格を持ってはいない。
それでも私はマッスルマン!!
正義のヒーローである。
だから、私は今日もプロテインを牛乳で割る。
マッスルマン 不適合作家エコー @echo777
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