第2章:襲撃
この国は、比較的小さな国だ。隣国と比べると、人口も少なく、外交的優位もないのに今まで生き残れてきた。間違いなく王の手腕によるものだろう。そんな国に、突如魔物が攻めてきたのだ。
「このまま迎え撃つぞ!」
「あの、俺はどうすれば?」
「戦え!」
「技術もなにも教えられてませんよ!」
「戦って学べ!それが1番早い!」
「そ、そんな無茶な」
そのまま一気に魔物を蹴散らしながら突き進む。
「この度の魔物共は数だけだ!一体一体は雑魚だ!」
「なんて強さだ……」
化け物かと思った。その時、目の前に魔物が現れた。
「くっ……俺も、戦わないと!」
勢いよく剣を振る。しかし、当てれない。
「ピキュー」
と魔物が鳴くと、体当たりをもろに受けた。その時、意思が砕け、恐怖がこみ上げてきた。
「う、うわぁぁぁ、来るなぁ!」
逃げようとしたが、腰が抜けて立てない。死を覚悟したその時、
「ふん!」
豪快に振り降ろされた一撃が、魔物の脳天を直撃する。
「全く、この程度の魔物にやられているようでは、先が思いやられるぞ」
その日、小国ながらも魔物を退けた。
「よくやってくれたのぅ、騎士長よ」
「いえ、大臣殿の素早いご決断のお陰です」
「謙遜するでない。して、ユミルはどうじゃった」
「初の実戦らしく、怯えてました」
「それは面倒じゃのぅ」
「本当にアレが、ユミルに?」
「今は王の判断に従うまでじゃ」
「そうですか」
「ユミルの育成を任せてもよいかのぅ?」
「もちろん構いませんが、どうしてでしょうか?」
「いや、特に深い意味はないのじゃ」
「そうですか、では失礼致します」
「うむ」
「ユミルにアレがあったとすれば、こちらの計画も進めておかねばのぅ」
「おい、ユミルよ」
「は、はい」
「今日より、俺が貴様を鍛えてやる」
「きょ、恐縮です」
「ビシバシと鍛えてやるから覚悟しておけよ」
「はい!」
この時、まだ誰もこの国に潜んだ悪の存在に、気付いてはいなかった。そして、この国の真実を俺は知ることになる。
残酷すぎるこの世界で ヒマジン @Datenshi_himazin
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