書籍化の話を受けた筆者が、その体験をまとめたというだいたいフィクション。
ネット小説を書くものならば一度は夢想するだろう書籍化の話だけど、その流れがおもしろい。この時点で三年以上前のことだろうけど、さほど状況は変わってないだろうし。
ビジネス書を書きたい、という目的がある筆者だけに、ビジネスマンとしての視点でのコメントが特におもしろかった。一応社会人をやってる身分なので、なるほどためになる。
資料は事前にまとめる、とか。
質問はあらかじめメールしておけば手間を取らせない、とか。
打合せ後に内容をまとめて確認を求める、とか。
相手に対する敬意と配慮からすれば当然ではあるけど、その当然なことができてないなぁと自省。そもそも経緯も配慮もないかも、俺……。
小説を書く人間というのは、とかく芸術性とか文学性とか、もっと単純に面白いかつまらないかという視点で自著を見がちです。
Webで無料公開しているうちはそれでいいでしょう。同人誌や自費出版などでも。
しかし、確かに商業出版となれば、それは『商売』です。『お仕事』です。作者以外にも多くの方が動き、大きなお金が動きます。
そこには責任と経済があるわけです。ぶっちゃけた話、自分の本が売れなかったら出版社に損害があるわけですから。
Web小説や同人出身の作家だと、どうしてもその点がよく見えなくなってしまうのですが、著者のダイスケ先生は『自著が本当にビジネスになるのか』という視点を常にもたれていたようです。
そして、それをエッセイという形でまとめて、我々に提供してくださいました。非常に貴重な資料だと思います。
もしも、ほんの少しでも商業出版を目指したいと思われているWeb作家さんなら、絶対に目を通しておくことをオススメします。