第2話
ートンネルー
これは、母から聞いた話です。
20年程前、母、当時23歳。
入社し1年目、母は会社の同期のかた8名と夏の度胸試し大会をすることになったそうです。
車を2台出し、1台につき4人でトンネルを通るという内容だったそうです。
男女各4人づつだったので男女ペアで行くことになったそうです。
トンネルを通ると言ってもただのトンネルではなく、その頃流行っていた幽霊トンネルだったそうです。
公民会館を超えた先に昼間でも薄暗いトンネルがあり、その近くには沼もあるそうでそこで自殺をする人が多々いて、そのトンネルを通ると車が動かなくなったり、運転手の足が掴まれたりなど不思議な事がよく起こったそうです。
「じゃあ、俺ら先に行くなー。」
そう言い、先に行ったグループが10分経ち次に母の乗ったグループが行くことになっていたそうです。
「やっぱ、辞めよう?。ここほんとに出るから…。お願い。辞めよう。」
母は小さい頃から金縛りにあったりなど霊感を持っていて本当にやばいと感じたのでしょう懸命に止めました。
母が止めると一緒の車に乗っていた女の子も賛成してくれ、先に行ったグループが帰ってくるまで待とうと言うことになりました。
しかし、待てど暮らせど先に行ったグループは帰ってこず、1時間、2時間と時間だけが過ぎていき、遂には朝の8時になっても帰ってきませんでした。
どうせ帰っているだろうと思いその日仕事が入っていたこともありその日は帰りました。
それから1週間が経ってもあの車に乗った4人は仕事にも来ておらず流石に怪しいと思った母と同期3人は警察に連絡し、捜査をお願いしました。
暫くし、警察から1本の電話がかかり、次の日母と同期の3人で警察署まで行きました。
「何もありませんでした。」
「え?」
「車の通った形跡も、何も…」
それは有り得ない。
確かに私達は「先に行くなー。」と言ってトンネルへ入っていった彼らを見ている。
結局、警察からは捜査打ち切りと言われ、渋々帰る事になりました。
それから20年。
20年も経った今でも彼ら4人は帰って来てないそうです。
母はたまに夢に見るそうです。
「トンネル、通らなくて良かったね」
と笑う母の同期の女の子の姿を……。
あの日。 雫穂。(なほ。) @riri__1209
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