あの日。

雫穂。(なほ。)

第1話


ーお墓参りー



これは、2年前に私が本当に体験した話です。


2年前のお盆の日、大阪から帰省した親戚と集まり総勢15人程でお墓参りをする事になりました。


とは言ってもお墓参りは毎年行っていたので珍しくもないのですが。


ただ、その日はとても暑く私は熱中症で倒れてしまい、結局お墓参りが出来ず、車で母と一緒に親戚がお墓参りを終え帰ってくるのを待つだけでした。



母が「何か飲み物買ってくるからね」と言い車から出て近くのコンビニへ行っている間それは起きました。


頭はガンガンし目を瞑って車の後ろの席で1人横になっているとピロリンと音がし何かと思い体を起こし携帯を見ると従兄弟からLINEが来ていてその内容は「もう、そろそろ、そっちに着くよ」といった感じでした。


そのLINEに「分かった。」と返し10分経っても既読は付かず不審には思いましたが何しろ頭も痛く意識朦朧としており横になっていました。


30分くらいでしょうか。それくらい経っても帰ってこず流石におかしいと思い、その時は頭の痛さも大分楽になっていたので携帯を握りしめ、お墓の場所へ行く事にしました。

駐車場からお墓のある場所まで10分もかかりません。

駐車場からコンビニまでは20分はかかりますが…。全然近くないですね…(笑)


駐車場からお墓のある場所までは一本道で迷うことは決して無いはずなのですが私がたどり着いた場所にはお墓は無く、ただ、荒れ果てた高野が広がっているだけでした。


「嘘…。迷った?」


頭を抱えていると不意に


「大丈夫?」


と話しかけられ振り返るとそこにはこの炎天下の中暑くないのか着物を多分着物だと思うのですがこの日お祭りは行われていなかったので、着物を着た若い女の人が立っていました。


「す、すいません。道に迷ってしまったみたいで…」


「どこに行きたいの?」


「親戚とお墓参りに来ていまして。○○家のお墓を見たことありませんか?」


そういうと女の人は笑ってこちらへ近づいてきました。



なんだろ、やばい。

そう思い何とか逃げ出そうとしたのですが、足が思うように動かずただ、立ち尽くすことしか出来ず詰んだなと思った所で救いの神が!


握りしめていた携帯から着信があり、その音のお陰で何とか動く事が出来ました。


急いで走り暫く走った後振り向くとそこに女の姿は無く、一安心。


駐車場まで戻ると親戚一同に「何やってんだバカ!」とどやされました。


そして、先ほど起こった話をすると変な事に従兄弟は私にLINEをしていないし、電話の着信履歴の中にはさっきの履歴は無い。といった不思議な点が多々ありました。


これで終わればただの夢だったかもと思えたのですが、その日親戚総勢15人、祖父母の家で集まってご飯を食べる事になり、昼間の私の話になりました。


私は包み隠さず全ての事を話しました。

すると祖母が古めかしい写真を1枚出し私に見せてきました。

なんだろうと思いその写真の受け取り内容を見ると背筋が寒くなりました。


「その人、この写真に写ってる人じゃないかい?」


そこには、私が昼に見た着物と全く同じ、写真は白黒だったためハッキリした柄は分からなかったのだが、多分同じであろう着物を着た女の人が写っていた。


「この人だよ。…この人誰なん?」


「その人はね、ばあちゃんの友達。今日お墓参りしたお墓の隣にその人は眠っとるんよ。」


と教えてくれました。


祖母は笑顔でしたが私としては何故私がその人を見たのか、何故その人は私の前に現れたのか全くもって検討が付かずただ恐ろしいだけでした。


「なんで、私の所に来たんだろ…」


「その子ね。その写真を撮ってスグに亡くなったんよ。多分、あんたが1番年が近いからじゃないかねぇ。その子、私の事本当の友達だと思ってなかった見たいだから友達が欲しかったんだと思うよ。」


「…友達…。」


では、あの時あの着信が無かったら私はその人に連れ去られていたのだろうか、今となってはその事をどうやっても調べることは出来ません。



それから私は、毎年その人に会ってしまうのですが…。

去年、従兄弟と一緒にお墓参りへ行った時もその人に会い、その人の方へ行きそうになった所を従兄弟が止め何とかなったのですが、今年はどうなるのやら…。

私には全く霊感が無く見るのもその人だけなのでもしかしたら私はその人に取り憑かれているのかもしれません。

今年のお墓参りあの場へ行くのをどうしようか未だに検討中です。

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