第23話 劉焉軍に合流

カサイを出て数日、幽州の太守である劉焉の元へ進軍した劉備軍は、立派な軍装に異相の顔ぶれが効いて劉焉は大歓迎で迎えてくれた。


 その歓迎ぶりたるや、着任してまだ何の働きもしていない劉備軍に歓迎の晩餐会を開いて、一兵卒に至るまで酒や料理が振舞われた。


「黄巾の賊と戦わんとする汝らの志しや歓待せん!」


「いえ、我が志しは遥か高みにあります。我々劉の姓を持つ者ならば賊退治如きに志しなど必要ありません」


 劉備は志しと大志と理想と推測と劉一族皆親戚なる必殺トークを展開し、晩餐会が終わる頃には劉焉のハートをがっちりキャッチしていた。


 翌日、劉焉配下の鄒靖が大軍にて黄巾賊五万以上いるといわれる根城に進軍を開始した。


 それを知った張飛は劉備を叩き起こし、我らも参加せんと凄まじい迫力と圧力で意見した。


 何故か劉備と同室で寝ていた関羽が目を覚まし、スープと歓迎は冷め易いので即行動すべしと張飛の意見に同意した。


「つか何で関羽が兄者の部屋で寝てんだよ! うわっきっしょ! 義兄弟の契りだけじゃ足りないってか!」


「足りないのはお前の思慮だ」


 劉備は軽く張飛を叩くと、関羽に用心棒サンクスと前歯を輝かせた。


「敵地ではないが、どのような輩がいるか分からぬ場ぞ。用心棒という名の棒になるのは当然の成り行きであろう。お主もそう思うであろう」


 用心の為か、軍服姿のまま寝ていた関羽が空中に同意を求めた。


「キエィ!」


 かすかに、空気が動いた気がする空間に張飛は蛇矛を振るった。


「朝から気分悪ぃ。簡擁をからかいながら起こしてくるから、出陣の件お願いします」


 入ってきた勢いとは真逆のテンションで張飛は劉備部屋を後にした。  


 張飛は簡擁の部屋のドアを蹴破ると、筆を出せと大声を出した。


 飛び起きた簡擁は事態を把握しきれなかったが、危機回避プログラムが優先作動し張飛の要求に全力で応えた。


 張飛は筆をとると、壊れたドアに【すまぬ。夜這い失敗で壊した by漢☆関羽】とペイントした


「何が成り行きで棒になっただウッホ野郎が! あーむかつく!」


 張飛はドアを更に踏み潰して破壊を推し進めた。


 簡擁は事態を把握しきれてなかったが、面白探求プログラムが割込作動した。


 張飛の文章の横に関羽をオチとした四コマ漫画をさらさらと描いて張飛を爆笑させた。



「気分爽快になったとこで出陣の用意しな」


「出陣ですか相手はどなたですか?」


「もち黄巾賊だ。その数ざっと五万はいるってよキヒヒ」


「五万ですか……おやすみなさい」


 張飛はバタバタと暴れる簡擁を肩で抱えると兵士達に出陣の知らせをすべく走り出した。

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三国血風録 @akisameyasai

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