好きな男子の気を惹くために、TRPGを学ぼうとする女子高生の劉アン子。しかし、TRPGというのはゼロから始めようとするにはなかなかハードルが高い。そんなアン子の元に現れたのがスマホアプリによって偶然召喚された諸葛孔明!
孔明のいた時代にはTRPGなんて当然なかったのだが、現代の知識を手にした彼はあっという間にTRPGの何たるかを学び、アン子に指南。そして彼女の恋を成就させんと策を巡らせる!
というわけで全くの初心者であるアン子のために、孔明が一からTRPGのやり方を教えてくれる本作品。キャラクターをどう設定するべきか、GMって何をすればいいの、そもそもルールブックが高くて買えない……などなどの最初のつまずきやすい部分から解説し、しっかり解決してくれる。
ただルールを解説するばかりではなく、最初は孔明とだけプレイしていたアン子がクラスメイトたちともプレイしてTRPGの楽しさにハマっていく様子も上手く書けているし、孔明以外の三国志キャラクターも徐々に混迷を極める恋愛事情も面白い。
読んでいく内にTRPGと三国志について詳しくなれること請け合いだ。
しかし孔明が『新クトゥルフ神話TRPG』の紹介をするっていうのはなかなかにシュールだ……。
(「アナログゲームの世界」4選/文=柿崎 憲)