第43話 エピローグ
邪神ハナコを倒して数日後、王城でパーティーが開催された。
アルテミス、オリオン帝国、各地の部族長が招かれ盛大な食事が催される。
宴会場ではダヤン王が最高級のワインを開け、グラスに注ぎ、片手をあげた。
「今宵、日本に旅立つ英雄たちに――乾杯!」
「――乾杯!」
祝杯が交わされる。世界を救った英雄、レオン、ハナコ、リィル、その他ヘミィやアルミス、大賢者、コーゼなどが表彰された。今宵、レオンたちは旅立つのだ。
数時間後。
各方面へ挨拶を済ませ、レオンたちは一足先に宴会場を抜け出した。
「リィル、日本に来ても大丈夫なんだな?」
スライム蜘蛛のリィルに最後の確認をする。ゲートの能力で日本に戻れば転生前の姿に戻ってしまう。
「全然平気。むしろウェルカムだ。日本でリア充になってやる」
「けっけっけ。転生前のお前の姿を楽しみにしてるよ」
「レオン、リィル、そろそろ行く」
ハナコは『ゲート』の能力を発動する。これから邪神ハナコの復活を阻止するためにハナコを日本に帰還させる。約束通り、3人で漫画家を目指す。
日本に行ったレオンは魔力がなくなる。ハナコは『ゲート』以外のチート能力をすべて失う。リィルはチート能力を持ったスライム蜘蛛からただの人間に戻る。無職の青年と女子高生2人。3人で日本を生きるにはあまりにもつらい。
でも大丈夫。
「俺たちは英雄だ。アルテミスを救ったんだ。日本に行っても絶対に大丈夫!」
「ふんっ。私が漫画家になるまでアシスタント頼むわよ。2人とも」
「あっちにいったらとりあえず住居探しだね。僕の二度目の人生だ」
才能はないかもしれない。しかし、レオンやハナコは大事なものを手に入れた。
一緒に夢を目指す親友だ。大切な仲間がいればきっと大丈夫。
たとえ芽が出なくても、ハナコが経験した100時間を超える時間跳躍の如く。無限に及ぶトライ&エラーを繰り返せばきっと夢は叶う。
これは才能にあらがう物語。
地味子がチーレム無双して漫画家を目指すお話。
今度の異世界は日本。アルテミスを救った英雄たちは、漫画家になるために第二の人生を歩みだす。
「私はプロのクリエイターになる!」
「僕は面白い物語が書きたい」
「俺は全力でお前らをサポートするぜ」
3人は漫画家になる夢を叶えるため、アルテミスを出発した。
――Fin.
SSレアの魔法剣士 ハカドルサボル @naranen
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