第12話

「身体が痛い、もうバッキバキ。運転席で寝るもんじゃないわ」

「あのシートでベッドを作って欲しいですねぇ」


 日常が戻ってきた。体力は限界だがとりあえずは動けるという状態で、荷台に積まれたカウェルの状態を見る。


「うう……身体が痛い。動けない……一体僕に何が……」

「よう、目覚めたか。記憶はあるか?」


 ジャックは一応聞くがカウェルは「僕何かしたんですか?」と聞くだけで案の定記憶はなかった。しかし身体は極度の筋肉痛とその他もろもろでよろしくない事になっており、今日の支援活動はとてもできそうにない。


「どうしようもないから一旦帰るぞ。話はそれからだ」

「とりあえず荷台に置いていてはアレなんで、ここの医者に簡単に見てもらってから助手席にぶちこんでフォービスタイトの病院で入院ですねぇ」


 ドクター・ガレリオに引き渡せばいいでしょうか、と呟くが、多分あれに渡したらトラウマを植え付けられるだろうから他の医者にしなさいと注意する。


「ここは?」

「いたたたた!」

「こっちは?」

「痛ぃぃぃぃ!」

「それじゃあこっちも」

「ぎゃああああああ」


 診断結果。全身がヤバイ。ここじゃ治療出来ないから都市に回してねとのこと。ごもっともである。


「ただでさえ患者が多いのに支援に来て怪我をするとは何事かね。尋常じゃないよこれ。どんな運動したらこうなるの?」

「まぁバリト市民的に超恥ずかしい病気にかかってたとでも考えてくれれば」

「うんうん、そうだね。君たち二人だけの秘密だよね。ワシは同性でも気にしないから大丈夫だよ。墓まで持ってくから」

「ちょっと何言ってるんですかねぇ!? オレは健全な女好きですよ!」

「先輩、そうやって言うとどうやっても変人にしか聞こえないのわかってやってます?」

「うぅ、泣きたい……痛い……」


 とんでもない勘違いをされつつ彼らは早急に帰ることになった。ここのやぶ医者(断定)はボケているに違いない。


「さーって運転しますよ―っと。揺れに耐える準備はオーケー? 多分ちょっとした振動で死にそうになるから頑張ってね」

「いっそ殺して下さい……」


 エンジン回してさぁ出発。これから長い長いカウェル君の苦難が始まる。本当にどうしてこうなってしまったのか。次は馬車でゆっくりしよう、車にトラウマを覚えたカウェルはしばらく乗るのを断固として拒否したという。





「おっと」

「ぎゃああああああああああああ」

「あ、すまん」


 唐突に踏んだブレーキでカウェルが死にかけた。だって仕方ない、道半ばに奇人が仁王立ちしているのだもの。


「おい、なんでそんなとこに突っ立ってるんだ。あぶねえだろ」

「危ない!? あぁぶぅなあぁぁぃい!? それどころじゃないでしょ君ぃぃっぃ!」


 カワスキー・ガガリクスは瓶底眼鏡の奇人スタイルでありながら眉間にしわ寄せて怒りを露わにしていた。


「さぁ! 何があったか話したまえ!」

「何がってなんだよ」

「遺跡の事だよ! どうしてあそこはあんなえぐれてるのだ!」

「それオレがやったって証拠あんの?」

「君の靴跡があったぞ! さらに君の銃の痕跡もな! さぁ吐け! 吐け! 何があった!」

「……っち、仕方ねえな」


 車のドアを開け外に降りる。せんぱーい、どうしましたー? と声がかけられるが変なのに捕まったから野暮用ーと答えた。


「あぁ、また貴方ですか」

「そうとも私だとも。そういうわけで遺跡に行くぞ諸君! あ、今度は車は置いてくるように。下手な刺激を与えられても困るからな」

「だそうだ。カウェルには悪いが、こいつが満足しない限り帰れないだろうから耐えてくれ」

「は、はい。ここで待ってます。どのみち動けませんから」

「私は行きまーす。ネタが待ってる予感がしますので」


 そして一行は再び遺跡があった場所に赴いた。ジャックはこれで3度目になる。

 そこは昨日の戦闘であちらこちら土がえぐれていた。特にひどかったのは遺跡のある部分で衝撃で隕石が落ちてきたかのように緑が砂色に変わっている。


「あらま、昨日は気づかなかったが随分と様変わりしてるなあ」

「これが人間のやったことですか先輩」

「おい、本当に何があった!!」

「はぁ、実はだなーー」


 ジャックは夜の戦闘の事を教えた。暴走していたカウェルは今考えると何かを探すように走っていたこと。目的地はおそらくここで。光のようなものをまとって筋力が増加したり射程が伸びた異常な状態だったこと。自分も同じことが出来たこと。ボールダーで撃てば光が途絶えたことなどなど。


 それを聞いたカワスキーは悩ましい表情で眼鏡を取った。どうやら真面目に考える気になったらしくキ○ガイさは欠片もない。


「つまり、貴様にまつわる一連の出来事は全て遺跡に関係するということか? ここまで来るとこの地震すらも何らかの要因の一つでありそうな気がしてならんな」

「それは考えすぎじゃないか?」

「所詮仮定だ。仮定だが、そういうのはいくらでも用意しておいたほうがいい。なので少しここにいろ、何が起きるかわかったもんじゃないからな。せめて起こすなら眼の前で起こせ」

「んな無茶な……」


 そう言ってさらに掘り進めた遺跡周りはキレイにくり抜かれていた。そこはどうやら入口のようで、ドアノブこそ見つからないが地下へ入れそうな構造をしている。


「どうやって開くんだこれ?」

「わからぬ。鍵はないし扉らしきこれも真っ平らで継ぎ目が見当たらぬ。押しても引いても駄目だった」

「ふうん? 不思議な形してるなぁ」


 パシパシとマイアラークがシャッターを切りながらそれを眺める。その遺跡はほぼ金属で出来ており、土に埋もれていたものの清掃すれば元の光沢を取り戻すだろう。錆びてもいないし、いつの時代のものかわからないがそれにしては高度な技術で作られたのが伺える。そして入口らしき場所は一面銀色の板で塞がれていて入ることができそうにない。


「しかしこれ、解き明かせたら大スクープになりそうだな。また有名になるぞお前さん」

「名誉に興味はない。ただ私は知りたいだけだ。それは貴様も同質だと思うのだが?」

「あぁ……たしかにそうかも」

「待て、迂闊に触るな」


 その静止を待たず、ジャックは入口横にあるフチに触れた。そこは偶然にも他のフチより少し太く、切れ目の入った長方形の板みたいなものがはめ込まれていた。


 そうするとどうしたことだろうか、ピピッと彼らが聞いたこともないような音が響き銀色の板、つまりドアが下にスライドして引っ込み階段が現れてしまったのだ!


「…………開きましたね先輩」

「…………ああ、開いたな後輩」

「やはり貴様は何か持っているな。主原因がわからんが……待て、仮に似た構造の遺跡を見つけた時は常に貴様を同行させないと開かないのか? これは監禁すべきか?」

「物騒なこと言ってんじゃねえよ。ほら、待望の中身だぞ、はよ入れ」


 ざわつく助手達も共に一歩一歩階段を降りていく。そこは暗いがほんのりと青い光で照らされていてなんとか階段が見える状態だった。


「すごいですよこれ、電球の光り方が均質で歪みない。それにこんなにきれいな青は初めて見ます」

「長い間閉じてたはずですよね? そのはずなのに空気が循環しているのが感じられる……」


 床は固く非常路のように狭い通路は音が反響してよく響く。その中を全く物怖じせずにマイアラークはシャッターを切り続けた。


「はぁ〜、幸せ。初めて見る光景を写真に残す喜び。たまりません〜」

「そんなに撮ってフィルム足りるのか?」

「大丈夫です。予備で10個は持ち合わせてますので! あと500枚くらいは撮れるんじゃないですかね」

「すぐ切らしそうで心配だよオレは」

「フラッシュが鬱陶しいから辞めてほしいのだがな……」


 カワスキーが苦言を呈すると「確かにフラッシュなしでも味のある写真が撮れそうですね」などと言っている。彼女の写真への情熱はとどまるところを知らない。


 果たしてどれほど降りたのか。暗がりでは距離感がいまいちはっきりせず、ここが地下何メートルかさっぱりわからない。どれほど続くのか、一同が考えていた時階段が終わりようやく新たな扉が姿を現す。


「ふむ、これは……」


 とカワスキーが近づき、あちこち触れながら問題がないかどうか確認する。そして入口と同じジャックが手を触れた板を見るに、カワスキーは「やれ」とジャックに顎で示した。


「へいへい、何でオレが必要なんですかねほんと……」


 だるそうに手のひらをぺたりと当てた。冷たい。そして再び件の音が流れた後、圧搾した空気が抜ける音と共に扉が開く。今度は横開きだった。


「果たしてこのようなものを作り上げたのは一体何者なのだろうな」

「規模がでかそうだから一人には限らないんじゃないか?」

「となると、古代文明というやつは我々には計り知れないものになりそうだな」

「ところで罠みたいなものはないのか?」

「宝でもあるならともかく、常用していそうな施設にしかけるバカはいないだろう」

「それもそうか」


 さらに奥へ。そこは縦横20メートルほどからなる広間だった。壁には幾つもの平らな何かが並び、メーターが動く機会が手元で操作しやすいように並んでいる。今の彼らは知らないが、その平らなものとはモニターだった。何かを映し出すためにあるのだろうそれは、今は機能していない。

 しかしメーター類は常時稼働しており、それに合わせて微振動らしきものが足元から伝わってくる。


「何かを制御でもしているのか? まさか今でも動いてるとはな」

「他にも扉がいくつかあるな。開けてみるか?」

「そうだな……いや、これは貴様で無くても開くようだ。普通にドアノブがついている……しかし変わったノブだな、円柱状でなく棒状だ」

「下に倒すだけでいいのか? 回すより楽だなこりゃ」


 ギチっと鳴るドアを開けると少しだけホコリが落ちてくる。それを払いながら進むといくつかのテーブルや椅子が置いてあるのがわかる。


「休憩室か? キッチンみたいなのもあるし、こっちは冷蔵庫か。重要そうなものはないな」

「とはいえどれをとっても高度で先進的だ。使い方を覚えてコピーすべきだろう」


 冷蔵庫を開けてみるが中身はない。使われてないピカピカの新品かと思われたが、そうでもないらしく僅かだが痕跡らしきものがある。


「ここで生活してた奴がいたのか……遺体でも出てくるのかね」

「うわ、やめてくださいよ先輩。ミイラなんか見たくないんですけど」

「寝室を見つけたら要注意だな。ベッドで安眠しているかもしれん」

「あ、こっちはお風呂ですね。トイレも有りました」


 話を逸らすべくマイアラークは休憩室らしき部屋の更に奥の扉を開けて行く。だがどれも想定通りで特にこれといって何かあるわけではない。


「まぁ、そうですよね。でもいいなあこのシャワー。バスタブにも何か付いてますし、これは秘密の機能があるかもしれません」

「使ってた当人が当たり前に知ってたら秘密でも何でもないだろ……」


 ですよね、と答えるマイアラークは放っておこう。どうせしばらくバスルームに釘付けになるはずだ。休憩室から広間へと戻ると床を手で叩いているカワスキーを見つける。


「何かあったか?」

「この切れ目がある場所……叩いたところ空洞がありそうだな。しかしネジ止めされているのか? どうやって開けるのかわからん」

「ならとりあえず放っておけ、調べられそうな場所はまだあるだろ」

「それもそうだな……」


 気がついたら解明するまでへばりつくカワスキーを説得して、別の扉へ。


「開けてみるとまた廊下……今度は何が眠っているんだ?」

「左に二つ、右に一つか……? ふむ、左のはただのベッドルームだな」

「ミイラはいるか?」

「残念ながら無人だ。あったら鑑定材料に出来たものを……」


 じゃぁ次は右、と開けてみると簡素な室内に色々な物資が置かれている。


「ここは倉庫だな、生活圏が固まってるようだ」

「となると重要施設はまた別か」

「博士、あちらに開かない扉が有ります……おそらくは」

「出番だそうだ、ジャック」

「はいはいいきますよっと」


 再び板に手を触れ開ける。先程と同様に廊下が現れ、両脇に一部屋ずつ、その先には……


「また階段が……」

「どこまで降りる気だこれは……。いや、仮に先の入口が屋上と考えるとしたら、もしかしたら我々はビルらしき構造物の上から入ってきたということに?」

「はぁ!? どこまで埋まってんだそりゃ、一体いつできたものなんだこれ。地層が重なるにしても時間がかかるぞ?」

「さすがにあの狭さで玄関というのは考えにくいのではないか?……待て、その左のドア、また板がある」


 歩くのを辞め扉を開いて中へ。側面には先の広間と同じ計器類が、そして部屋の中央には直径が1メートルほどありそうな不自然な円柱が建っている。


「真ん中にこんなのがあったら邪魔でしょうがないな」

「ただの柱ではないかもしれんぞ。少し調べてみるか」


 柱を調べ始めたカワスキーを横目にジャックは壁面についてある装置を見回す。計器類の他にいくつかの装置もついているようだ。


「これ、タイプライターみたいなやつか? コードがついてるがどこに繋がってるんだ。紙を挿す場所もない。今の時代と似たものはいくつもあるが、用途が判別せんな」


 仮に同じ用途なら今の人類は古代人と最終的にたどり着く位置は同じように思える。それは少しだけ不思議な感じだ。


「押しても……特に反応しないか」


 動いてはいるからエンジンのアイドル状態と同じようなものだろうか? つまりどこかにボタンがあって、それを押せば本起動するのか。考えて足元の棚のような構造をした筐体を見る。同じようなものがいくつかあるので次々と視線を投げると……あった、ボタンだ。


「そんじゃ押してみますかね。ポチッとなっと」


 ブンッと羽音のようなものが鳴りボタンが赤く光り始める。色からして、あ、まずいと思ったときには筐体がどでかい駆動音を撒き散らしだした。


「やっべ……」

「おい、何を押した!?」

「多分電源だ!」

「迂闊に触る奴がいるか! 馬鹿か貴様!」


 続いて壁面のモニターが点灯し始めいくつもの文字の羅列を流し始める。それは現代語に似たような形だがどこか違うようで文法が繋がっていない。


「おっほー、どうなるんだろねこれ……」

「呑気に言ってる場合か! 最悪逃げる準備ぐらいはしておけ!」


 騒いでいると起動が終わったのか、壁面のモニターはどこかのリゾート画像のようなものを映し出した。そしてなんらかの文章が真ん中に表示された後計器類の真ん中についていたプレートは反転して銀色の板がせり出してくる。


「うん、なんだ。拍子抜けもいいところじゃないか。焦って損したぜ……」

「心臓に悪い……」

「すまん。で、これ読める?」

「少し待て」


 画面に映し出された文章を見て「これは……」と頷くカワスキー。ジャックが見てもさっぱりなものがわかるとは、さすがである。


「うむ、恐らくはこの枠の中にある二つのうちどちらかを選べというものだな。肯定を選んだ場合は所定通りの動作をするのだろう」

「内容はわからないのか?」

「いささか古すぎるな。似た文字こそあるが意味がどこかの時代で変質してしまっているのか、正確に判断できん。だがそうだな、恐らくは……」


 あれを開けるか否かを問うているのではないか? と指を指した先には円柱が。


「開くのか、あれ」

「ああ、継ぎ目やレバーがある。しかしそれらを動かすことは出来なかった」

「なんだ、お前さんも結構無茶してるじゃないか」

「貴様ほど不用意ではない!」


 どっちもどっちな言い合いをしつつ進展がないので再び画面に戻る。


「で、これどうやって選べば良いんだ?触ってもうんともすんとも言わんぜ」

「それは表示装置か何かだろう。光の前に照らし出した影のようなものではないか?」

「っとなると操作できる機能でもあるのかね」

「さっき出てきたこれに触れてみるのはどうだ……ほぉ、矢印が動いたな。私でも動かせる」


 ジャックが触った認証用のものではなく、画面内のカーソルを動かすためのタッチパッドを感心したように触り倒す。それを肯定のマークがある場所の上まで持っていくが特に動くことはない。


「ふむ、この後どうすればいい」

「叩いてみるとかどうだ」

「ありだな、よし」


 ポンと、軽く叩いてみると矢印が拡縮して映像のボタンが押し込まれる。正解だ。


「で、お前さんどっちにしたの」

「当然開けるに決まっているだろう。中を見なければ何があるかわからんからな」

「で、開けた結果出てくるものによっては?」

「逃げて扉を塞ぐ。その時は任せたぞ」

「ふざけんなてめえ!!」


 ギャーギャーと子供のように言い争っているとまたしても空気が抜けるような音が柱からする。


『本施設内に存在する人員の言語を検証開始……誤差修正、再調整を実行……』


「なんか声らしきものがしてるんだが、何言ってるかわかるか?」

「わからん……時間をかけねば法則が理解できん」

「ていうか人がいるのか?」

「そんなわけはないだろう。信じたくはないが、録音されたものではないか? あまりに流暢すぎるが」


『動作確認、各部位の異常無し。人工知能の正常起動を確認』


「中でギュインギュイン音がしてるぜ? 不味いんじゃないかこれ」

「入口に近寄っておこう。念のためにな」


『マクスアーレ、起動。ポッドのロックを解除します』


 バガン、ガン、ガン、とロックボルトが外れ円柱の側面が煙を吹きながら開き始める。二人はいつでも逃げれるように腰を落として警戒する。


 ガチャリ、と妙な音が聞こえた。それは解除されたドアの内側から、地面に向けて倒れ込むように雪崩出てきた。ぶつかる!? と思ったが、それは二本のいくつもの関節がある棒状のもので支えられる。


――あれは、脚だ。


 形状とサイズから言って犬と似たものだろう。逆関節になったそれは小さな駆動音を立てながら確かに歩いている。

 顔を上げた。見た目は耳の位置といい目、先のでっぱった鼻といいやはり犬のようだ。しかし身体のほとんどが銀で出来ており、それが機械だと否応なしに認識を叩き込まれる。


 そうして後ろ足もとうとうポッドから出てきた。自身の動きを確認するように、キュイ、キュイといくらか音を立てて関節の確認をする。


 そして、こちらを見た。


 その光る瞳からは何を考えているのか全く計り知れない。無感情で、あまりに不気味。自然とジャックはボールダーを後ろ手にし、攻撃してくるなら反撃も辞さないと機を伺っている。


 かちゃり、と犬がわずかに頭を下げる。来るかっ! ジャックは更に深く腰を落とす。すると、


「ふむ、間に立つ灰の者とは随分と久しいな。さて、今はいつだね諸君」


 硬直。それは渋い声で、自分たちと同じ言語で、流暢に語りかけてきた。犬が――


「犬が喋っただとっぅぅぅぅぅ!?」

「大スクープだぁぁぁ!?」


 果たしてその記事が埋めるのはいったいどの欄か? 文化か? ミステリーか? それとも空想小説か何かと判断されるだろうか。とにもかくにも大事件である。


『ジャック・レイリー、喋る犬と出会う』


 彼の物語は、ラストルバリト全域を巻き込む大事件は今この時確かに時を刻みだしたのかもしれない。

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