第4話
「よし、そろそろいいか」
「うん、大丈夫」
「じゃあまた後でな」
「絶対だよ!絶対迎えに来てね!」
「ああ、もちろんだ…行け!汐音!」
同時に反対側へ走り出した。大輔の作戦通り奴は大輔に気を取られて私の方には来ていないらしい。
途中枝や葉が顔に当たり傷をつくるが、気にしてなんていられなかった。木の幹に躓き何度も転び泥だらけになりながら何とか頂上に着いた。あたりを見回して辛うじて身を隠せそうな岩を見つけ腰を下ろす。
どのくらいたっただろうか?辺りも薄暗くなりはじめそろそろかな…と思ってると遠くの方から
「汐音ー!あとはあんたあだけだよー!」
「もうみんな捕まっちゃったからでてきなよー」
「もう暗いから、お家に帰ろうよー」と咲良や翔太、葵の声がした。
「えっ、私だけ?でも大輔は?」そこで、さっき大輔の言われた言葉を思い出す。
━絶対に振り向くんじゃねーぞ。返事をするな。どんな事を言われてもだ。俺だけを信じろ。いいな?
(俺だけを…信じろ…)
(返事をしては駄目…)
【しおねええぇ"ぇ"ぇ"ぇ"】
【どごおぉ"ぉ"ぉ"】
【でてごいぃ"ぃ"ぃ"】
またあのノイズの声だ。耳を塞ぐ。
(大輔…大輔…大輔…怖い…早く来てよ…お願い…)
〜♪
夕方の鐘がスピーカーから鳴り響きさっきの気配が遠のいていく。
「汐音」
「大輔?!」
名前を呼ばれて振り返った瞬間胸を強く押されて足を滑らせ転落した。
カラスが飛び立つ音がする。今日は夕焼けが綺麗だな。
【あなたはだあれ?】
━グシャッ
(パチッ)また駄目だった
遠い夏の記憶 天使(あまつか) @py0n_chiya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます