第3話

少し頭をあげあたりを見回すが見つからない。


「馬鹿!頭出すな!」

「だってえ…」



【みいいいぃぃぃぃぃつけたあぁぁぁぁぁ】



ノイズ混じりの様な声が背後から聞こえてきた。大輔と2人で草むらから飛び出し出口近くの物陰へ隠れる。


「ねえ、あれはなんなの?優はどこ?」

「説明してる暇は無い。優はもう…」

「優はもう何?!ねえ!大輔!」

「いいから!汐音、今から俺が言う事をちゃんと守れ。俺が奴の気を引いて反対側に逃げるから合図を出したらお前は出口を出て頂上へ行け。俺が迎えに行くまでどこかに隠れてろ。絶対に振り向くんじゃねーぞ。返事をするな。どんな事を言われてもだ。俺だけを信じろ。いいな?奴は夕方の鐘がなり終わると同時に消える。それまでの辛抱だ。」

「大輔も一緒に逃げようよ!1人じゃ嫌だよ!」

「俺なら大丈夫だから。汐音…約束…守れるな?」

(コクリ)

「よし、いいこだ」


そう言って頭を撫でられた。大輔はみんなより2年上で何でも知っていて頼れるお兄ちゃん。


(その大輔が大丈夫って言うなら信じよう。わたしは大輔との約束を守ろう。)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る