第7話 多分、今までで一番ビックリしたな
後日、私は実家に戻り、お墓参りをした。親戚の幽霊さんたちは、やれ珍しい客だとか、やれ明日は槍が降ってくるだとか…
ちょっと…丸聞こえですよ幽霊さんたち
次は…そう考えて墓石に背中を見せた直後、後ろからクスクス笑う声が。
『やっと来てくれたんだ?』
『遅いじゃないのー』
「?!」
驚いて振り返ると、そこにはあの時の姿のままの静子ちゃんとその母親がいた。ニコニコととても嬉しそうに笑いながら。
『大きくなったねあーちゃん。あれから頑張ってる?』
『まさかあの時のガキがこんなになるなんてね!』
「え、な、なんで親族の墓に二人が?」
『あれ、気づいてなかった?』
『私たち、貴女の遠い親戚よ?』
「えええ?!」
とにかく驚いた。凄く超おどろいた。
「ちょっと待って、ということは、アンタ…その親族を殺しにかかったんすね?」
『ヤダー。痛い処つくわねーもー』
『事実なんだし、しょうがないでしょ』
静子ちゃんは相変わらず笑って。そして
『また来てよ。楽しみにしてるからさ』
そう言い残して、二人は消えた。
「…」
『よかったではないか。あの二人にまた出会えて』
『……』
「二人とも…うん…こんなことなら…もっと早く来てればよかったかな」
『死したあとは、生者しか死人に祈ったりできないからな…』
『……』
「ソレはなんですか。長年ロクに墓参りしてこなかった私にたいする叱咤激励的な何かですか」
ジトッとした目で見つめると、一人と一匹はクスクス笑いながら答えた。
『さぁてな?』
『…。』
「ちょっと、意味深なんですが?!」
そうして二人も消えて。私は一人、ぼうっとそこに突っ立って。
気づけばあれほど煩かったお墓の幽霊たちがいなくて。まさか久々に誰かが来たから浮かれてただけかもしれなくもなかったり?
ざぁざぁと木々が揺れる。お墓のいくつかには花が添えられてたり、食べ物おもちゃなどもあった。一生来たくはないと思ってたこの場所。
「来年、また来よう…」
終わり
追憶の彼方の君へ ネムのろ @nemunoro
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