#3

教室に戻ったのはいいものの、泣き疲れていたのか次第に瞼が重くなってきて気付いたら眠ってしまっていた。



夢の中で

私は、あいつと幸せそうに笑っていて


とても心地が良かった。



目が覚める頃には授業は終わっていて

下校時刻だった。


もちろん、中村は教室にいて

泣いた事を気付かれたくなくて今度は寝たフリをたした。



「なぁ菊池、あいつどしたん?」



「さぁ、疲れたんじゃね?」



二人の会話を聞いていると、何故かまた涙が溢れてきた。

そんな私の異常に気付いたのか



「かな、泣いてる?」



「よっしゃぁ、お前ら帰るぞー」


事情を知っていた菊池が教室に残っていた生徒を外に連れ出した。

2人きりになると、



「なぁ、どうしたん?」



「どうもしてない。うちも帰るね」



「待って、菊池になんか言われたん?」



不機嫌そうな顔で、でもどこか寂しそうな感じで不意に腕を掴まれ引き止められた



「さっき、好きって言われた。俺のとこ来ないかって、俺やったら1人で泣かすようなことしないからって。」



「はぁ。、なんで?なんで、そんな事になったの?」



「だって、好きとか嫌いとか気持ち何も伝えてくれないし、付き合ってる実感無いじゃん!」



何も言い返してこない。



あぁ、やっぱり



「もういい。」



帰ろうと教室を出ようとした瞬間、



「好き」



「は?」


状況を理解出来ずに振り返ると、泣きながらこっちを見てる中村


「菊池のところいくん?行かんで、俺かなのこと好き、」



男の人の泣いている姿を見たのは初めてだった。



この時、初めて

心の底からちゃんと自分の意思で

“愛おしい”

そう思った。





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私だけを。 ひろ @hisa4520

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