第320話 窓の向こう

 夕方、窓の外

 野良ネコがテクテク歩いていく、車が通るからちゃんと歩道を歩いている。

『ニート、僕も、お外行く』

 昨日まで風邪ひいて寝ていたチョビさんが、僕のベッドから這い出て、窓際に座りニャーと鳴く。

「チョビさん…もう少し、おとなしくしていてください」

 窓際に座るチョビさんの背中を撫でる。

『ニート、外行く』

 玄関へ走って行くチョビさん。

『開けて!!』


 まったく懲りてない…


 日が落ちるまでの短い時間、チョビさんを抱っこして外へ出る。

『ニート、僕、1人で歩く!!』

 モゾモゾと身体を動かすチョビさん。

「ダメ」


 あっという間に暗くなって、寒くなって…

 白い月がポカンと浮かぶ。

「チョビさん、帰りますよ」

 いつもの神社の境内に座り、月を眺める。

(結局、僕はまた…飼われ犬に戻る…間違っているのかな…これでいいのかな?)


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猫のチョビさん、ニート観察日記 桜雪 @sakurayuki

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