謡義太郎

Cカップの距離感

「問題は顔を認証させる距離だ」

「確か約15cm」

「それなら定規みたいなものがあれば」

「センサーと顔周辺に異物があるとエラーになるんだよ」

「いったいどうすれば……」

「このままでは人類は……」

「私にやらせてください!」

「キミは?」

「ボクが連れてきました」

「なぜだね?」

「彼女は認証装置を開発した、あの亡くなった博士の娘さんです」

「なるほど。しかし、だからと言って15cm認証を乗り越えられるとは思えんが?」

「彼女はCカップです」

「だからなんだね?」

「彼女はCカップなんです!」

「あ、あの……確かに私はCですけど……それが何か?」

「ですから、壁に胸の先っちょをですね……こう……そうすると、顔の位置は壁から約15cmに……」

「却下」

「嫌です」

「話にならん」

「な、何故ですかっ!」

「あのなぁ……」

「だってCカップなんですよ?」

「キミはCカップというものを理解していないようだ」

「ふ、ふざけないでください! Bカップだとちょっと物足らなくて、Dカップだと持て余してしまう。このCカップ至上主義のボクが、Cカップを理解していないですって? 冗談もほどほどにしてください! Cカップのことなら三日くらい徹夜で語れます。ボクの手にしっくりくるあの感触……」

「やめんか!」

「へ、変態っ! 死ねっ!」

「駄目だこいつ。おい、誰かこいつをツマミ出せ!」

「Cカップの素晴らしさと偉大さがわからない人類なんて、滅べばいいんだ!」

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謡義太郎 @fu_joe

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